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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

複数年分の保険料を一括払した場合の最初の1年分の保険料の損金算入の可否

【質問】

 例えば、3月決算の法人が、平成29年3月31日に平成29年4月1日から平成30年3月31日までの1年分の保険料を前払いする場合には、短期前払費用として平成29年3月期において損金算入が認められるものと思われます。
 ところで、A社(3月決算)においては、割引率のよい掛け捨ての定期保険に加入し、その3年分(平成29年4月1日から平成32年3月31日)の保険料を、平成29年3月31日に支払う予定ですが、この場合においても、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの1年分の保険料を平成29年3月期において損金算入して差し支えありませんか。

【回答】

1 法人税基本通達2-2-14においては、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。)の額は、その事業年度の損金の額に算入されず、期間の経過に応じて損金算入すべきことを原則的な取扱いとして示すとともに、例外的な取扱いとして、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの(以下、「短期前払費用」といいます。)を支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める旨を明らかにしています。
  この例外的な取扱いの趣旨は、企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理について税務も同様の立場に立ち、1年以内の短期前払費用について期間対応によるところの繰延経理をしないで、支払時点での損金算入を認めようとするものですが、その趣旨としては、前払費用のうち1年以内に提供を受ける役務に係る金額の損金算入を認めるという趣旨ではなく、1年以内の短期前払費用を支払った場合においてその支出時の損金算入を認めるというものです。
2 したがいまして、お尋ねのケースのように、3年分の生命保険料を前払いしたような場合においては、そのうちの1年分が損金算入されるというわけではなく、その場合は、前払費用としての原則的な取扱いに戻り、支払った金額のうち当該事業年度の期間に対応する分のみが損金の額に算入され、残額は長期前払費用として翌期以降に繰り延べられ、以後、期間の経過に応じて損金算入されることになります。
  A社が、平成29年3月31日に支払う保険料は、平成29年4月1日以降3年分の前払保険料と認められますから、支払時において損金算入される金額はなく、以後の各事業年度については、保険期間が経過した保険料を前払保険料から支払保険料に振り替えることによって、順次、損金の額に算入していくことになります。
3 なお、自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」といいます。)に係る保険料についてみると、例えば新車購入の際のように3年分を一括して支払う場合には短期前払費用には該当しませんが、自賠責保険は、すべての車両保有者に加入が義務付けられ、その加入がないと車検が受けられない等、任意保険とは異なり車両を利用するために必要不可欠である点において租税公課と同様な性格を有していること、そして、金額的にも少額であること等から、課税上の弊害がないものとして、継続適用を条件とし、支払時にその全額を経費処理(損金処理)している場合は、実務上容認されているものと解されます。
  しかしながら、A社のケースのように生命保険料等を長期にわたり前払いする場合においてその一括損金算入を容認することは、「課税上の弊害がない」とはいえないものと考えられます。

【関連情報】

《法令等》

法人税基本通達2-2-14

【収録日】

平成29年 3月31日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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