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《税務Q&A》

情報提供 TKC税務研究所

【件名】

換価分割と小規模宅地等の特例の適用

【質問】

 被相続人には配偶者や子はおらず、亡くなるまで自己の居住用建物に一人で居住していた。
 また、相続人は兄と弟の二人であるが、いずれも被相続人と生計を別にし、兄は自己の所有する建物に、弟は借家に居住していた。
 遺産分割については、被相続人が居住の用に供していた宅地(以下「本件宅地」という。)及び建物を換価分割して得られる金銭を等分することで合意し、それらの売買契約を相続税の申告期限前に締結するとともに、申告期限後に残代金を得て引渡しを行った。
 この場合に、弟について、本件宅地に係る保有継続の要件を満たすものとして小規模宅地等の特例(以下「本件特例」という。)の適用を受けることができるか。

【回答】

 本件宅地については、共同相続人間においての遺産分割の方法として、換価分割の合意及び売買契約の締結が相続税の申告期限前になされていたとしても、その引渡しが申告期限後であることから、弟は本件宅地を申告期限まで引き続き所有していたものと解されて保有継続の要件を満たすこととなりますので、いわゆる非同居親族に係る他の要件を満たすとしますと、本件特例の適用ができるものと考えられます。

【関連情報】

《法令等》

租税特別措置法69条の4
民法906条
相続税法基本通達19の2-8

【解説】

1 換価分割とは、共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し、その換価代金を分割する方法をいうものとされています(相基通19の2-8(注))。
   そうしますと、換価分割の合意がなされた場合には、現物分割と異なり相続財産を売却することが確定することから、本件宅地を保有継続することとはならないのではないかとの疑義が生じるところです。まして、相続税の申告期限前に売買契約が締結されているときにあっては一層その感を強くさせます。
2 ところで、自己又は配偶者の所有する家屋を持たないいわゆる非同居親族が相続により取得した宅地等について本件特例の適用を受けるためには、当該親族は、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで保有を継続することが要件の一つとされています(措法69条の4〔3〕二ロ)。
   そして、上記の保有を継続するとは事実状態としての保有を意味するものと解されますので、相続人間において遺産分割の方法として換価分割とすることで合意され、その後、当該合意に基づき売買契約が締結されたとしても、引渡しが完了するまでは当該宅地について共同相続人の共有関係の状態が続いていると考えられることから、相続税の申告期限後に不動産の引渡しがなされたような場合には、上記保有継続の要件は満たされているものと考えることができます。
   したがいまして、ご質問の事例の場合、弟についていわゆる非同居親族に係る他の要件も満たすならば、特定居住用宅地等として本件特例が適用できるものと考えます。

【収録日】

平成29年 9月27日


 
注1: 当Q&Aの掲載内容は、一般的な質問に対する回答例であり、TKC全国会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。個別の案件については、最寄りのTKC会員にご相談ください。
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