■農地等の相続税の納税猶予の特例

2.特例を受けるための要件

 

 この特例の適用が受けられるのは、次の要件に該当する場合です。

 

 

 
(1) 被相続人の要件
 

 被相続人は、次のイからニのいずれかに該当する人であること

 
死亡の日まで農業を営んでいた人
農地等の生前一括贈与をした人
※ 死亡の日まで贈与税の納税猶予又は納期限の延長の特例の適用を受けていた場合に限られます。
死亡の日まで相続税の納税猶予の適用を受けていた農業相続人又は農地等の生前一括贈与の適用を受けていた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出をした人
死亡の日まで特定貸付けを行っていた人
  「特定貸付け」とは、市街化区域内農地等以外の農地又は採草放牧地について行う地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権(賃借権等といいます。)の設定による、次のイからハまでのいずれかの貸付けをいいます。
  農業経営基盤強化促進法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業のうち同項第1号に掲げる農地売買等事業のために行われた貸付け
※ 被相続人が行っていた上記イの貸付けには、次の貸付けが含まれます。
  農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)(改正農地法といいます。)による改正前の農業経営基盤強化促進法(旧基盤強化法といいます。)第4条第2項に規定する農地保有合理化事業のために都道府県農地保有合理化法人(同法第7条第1項の承認を受けた法人(同法第5条第2項第4号ロの規定により農業経営基盤強化促進基本方針に定められた者に限ります。)をいいます。)に対し行っていた貸付け((注)ハの※印に該当するものを除きます。)
  旧基盤強化法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業のために旧市町村農地保有合理化法人(同法第7条第1項の承認を受けた法人(同法第6条第3項の規定により農業経営基盤強化促進基本構想に定められた者に限ります。)をいいます。)に対し行っていた貸付けのうち、旧市町村農地保有合理化法人が、改正農地法附則第12条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされている旧農地売買等事業(旧基盤強化法第4条第2項第1号に規定する農地売買等事業をいいます。)を実施している場合におけるその貸付け((注)ハの※印に該当するものを除きます。)
  農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業のうち同項第1号イ又は同項第2号に掲げる農地所有者代理事業若しくは同項第1号ロに掲げる農地売買等事業のために行われた貸付け
  被相続人が行っていた上記ロの貸付けには、旧基盤強化法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業のために旧市町村農地保有合理化法人に対し行っていた貸付けのうち、旧市町村農地保有合理化法人が、農業経営基盤強化促進法第11条の9第1項の規定により農地利用集積円滑化事業規程(同項に規定する農地利用集積円滑化事業規程をいいます。)の承認を受けている場合におけるその貸付け((注)ハの※印に該当するものを除きます。)が含まれます。
  農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところにより行われた貸付け
  被相続人が行っていた上記(注)ハの貸付けには、旧基盤強化法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところにより行っていた貸付けが含まれます。
 
(2) 農業相続人の要件
   農業相続人は、被相続人の相続人で、次のイからニのいずれかに該当する人であること。
 
相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる人
農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、特例付加年金又は経営移譲年金の支給を受けるためその推定相続人の1人に対し農地等について使用貸借による権利を設定して、農業経営を移譲し、税務署長に届出をした人
※ 贈与者の死亡の日後も引き続いてその推定相続人が農業経営を行うものに限ります。
農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受像者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出をした人
※ 贈与者の死亡後も引き続いて賃借権等の設定による貸付を行うものに限ります。
相続税の申告期限までに特定貸付けを行った人
 
(3) 特例農地等の要件
   特例の対象となる農地等は、次のイからホまでのいずれかのものであり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨を記載したものであること。
 
被相続人が農業の用に供していた農地等で申告期限までに遺産分割された農地等
被相続人が特定貸付けを行っていた農地又は採草放牧地で相続税の申告期限までに遺産分割された農地又は採草放牧地
被相続人が営農困難時貸付けを行っていた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された農地等
被相続人から生前一括贈与に取得した農地等で、被相続人の死亡の時まで贈与税の納税猶予又は納期限の延長の特例の適用を受けていた農地等
相続や遺贈によって財産を取得した人が相続開始の年に被相続人から生前一括贈与を受けていた農地等
 
(注1) 「農地等」とは、農地(特定市街化区域農地等に該当するもの及び農地法第32条の規定による耕作の放棄の通知(同条ただし書きの規定による公告を含みます。)に係るものを除きます。)及び採草放牧地(特定市街化区域農地等に該当するものを除きます。)、準農地又は一時的道路用地等をいいます。
(注2) 「特定市街化区域農地等」とは、都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地で、平成3年1月1日において首都圏、近畿圏及び中部圏の特定市(東京都の特別区を含みます。)の区域内に所在し、都市営農農地等に該当しないものをいいます。
(注3) 「都市営農農地等」とは、こちらのものをいいます。
(注4) 「準農地」とは、農用地区域内にある土地で農業振興地域整備計画において用途区分が農地や採草放牧地とされているもののうち、10年以内に農地や採草放牧地に開発して、農業の用に供するものをいいます。
(注5) 「一時的道路用地等」とは、一定の公共の事業の用に供するために特例農地等をその公共事業のために一時的に転用しているものをいいます。
(注6) 「営農困難時貸付け」とは、納税猶予の適用を受けている人が、障害や疾病などの事由で特例の適用を受けている農地等での営農が困難な状態となったために、その農地等について賃借権等の設定による貸付けを行った場合のその貸付けをいいます。
   
(4)

申告の手続

 

 この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書を期限内に提出するとともに農地等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保(特例農地等でなくても差し支えありません。)を提供する必要があります。
 なお、特定貸付けを行った農地又は採草放牧地につき、この特例の適用を受けるためには、原則として相続税の申告書に「特定貸付けに関する届出書」を添付して提出する必要があります。

   
(5)

納税猶予期間中の手続

 

 この特例の適用を受けている農業相続人は、納税猶予税額の免除又は納税猶予税額の全部について納税の猶予が打ち切られるまでの間、相続税の申告期限から3年目ごとに、引き続いてこの特例の適用を受ける旨及び特例農地等に係る農業経営に関する事項を記載した届出書(この届出書を「継続届出書」といいます。)を提出しなければなりません。
 なお、継続届出書の提出がない場合には、この特例の適用が打ち切られ、納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。

   
(6) 農地等納税猶予税額の納付
 
農地等納税猶予税額を納付しなければならない場合
   納税猶予を受けている相続税額は、次の表に掲げる場合に該当することとなったときは、その相続税額の全部又は一部を納付しなければなりません。
 

特例農地等について、譲渡等があった場合

(注) 譲渡等には、譲渡、贈与若しくは転用のほか、地上権、永小作権、使用貸借による権利若しくは賃借権の設定(農用地利用集積計画に基づくもの等で一定の要件を満たすものを除きます。)又はこれらの権利の消滅若しくは農地法第32条の規定による耕作の放棄の通知(同条ただし書きの規定による公告を含みます。)があった場合も含まれます。

特例農地等に係る農業経営を廃止した場合

継続届出書の提出がなかった場合

担保価値が減少したことなどにより、増担保又は担保の変更を求められた場合で、その求めに応じなかった場合
都市営農農地等について生産緑地法の規定による買取りの申出があった場合や都市計画の変更等により特例農地等が特定市街化区域農地等に該当することとなった場合
準農地について、この特例の適用を受けた場合で、申告期限後10年を経過する日までに、農業の用に供されていない準農地がある場合
   
 
利子税
   上記イにより納付する相続税については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間に応じ、次の区分によりそれぞれに掲げる割合で利子税がかかります。
ただし、各年の前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては次の算式により計算した割合(0.1%未満の端数切捨て)になります。
    特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有する農業相続人 年3.6%
    特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有しない農業相続人
      特例農地等のうち相続又は遺贈により取得をした日において市街化区域内農地等であるものに対応する部分の金額を基礎とする部分 年6.6%
      イ以外の部分 年3.6%
   (算式)
   
上記の割合
×
(前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%)
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             7.3%
 
    (例)日本銀行が定める基準割引率が0.4%である場合・・・・・年3.9%
   
 
特例農地等を収用交換等により譲渡した場合の利子税の軽減
 特例農地等について収用交換等による譲渡をした場合には、利子税の額が2分の1に軽減されます。
なお、利子税の軽減の特例の適用を受けるためには、公共事業施行者の収用交換等による譲渡を受けたことを証する書類を添付した届出書を提出する必要があります。