■相続税の納付方法

3. 相続税の延納及び物納
   相続税は、納期限までに金銭で納付するのが原則ですが、納期限までに金銭により一時に納付することが困難な事由がある場合で、一定の要件を満たしているときには、例外的な納付方法である延納又は物納が認められます。そのあらましは、次のとおりです。
(1) 延納
延納の要件
   次の要件の全てを満たす場合に、延納の許可が受けられます。
 
1) 相続税額が10万円を超えていること
2) 金銭納付を困難とする事由があり、その納付を困難とする金額として一定の方法により計算した金額の範囲内であること
3) 納期限までに延納申請書及び担保提供関係書類を提出すること
4) 延納税額に相当する担保を提供すること
(注) 延納税額が100万円以下で、かつ、その延納期間が3年以内であるときには、担保を提供する必要はありません。
延納期間及び延納に係る利子税
   延納によることができる期間は、相続財産のうちの不動産等の割合に応じて異なり、また、延納期間中は利子税がかかります。延納のできる期間と延納税額にかかる利子税の割合については、その人の相続税額の計算の基礎となった財産の価額のうち、不動産等の価額がどの程度占めているかによって、おおむね次の表のようになります。
 なお、各年の延納特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合の利子税の割合は、次の算式により計算される割合(特例割合)が適用されます。
 
   
延納特例基準割合(※)
利子税の割合 ×
 
   
7.3%
  (注)0.1%未満の端数切捨て
  ※延納特例基準割合
  各分納期間の開始の日の属する年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
 
区  分
延納期間
(最高)
利 子 税
(年割合)
不動産等の割合が75%以上の場合
不動産等に対応する税額
20年 3.6%
動産等に対応する税額
10年 5.4%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合
不動産等に対応する税額
15年 3.6%
動産等に対応する税額
10年 5.4%
不動産等の割合が50%未満の場合
立木に対応する税額
5年 4.8%
立木以外の財産に対応する税額
6.0%
 
(注1) 延納税額が150万円未満(Aに該当する場合は200万円未満)の場合には、不動産等の価額の割合が50%以上(Aに該当する場合は75%以上)であっても、延納期間は、延納税額を10万円で除して得た数(1未満の端数は、切り上げます。)に相当する年数を限度とします。
(注2) 不動産等とは、不動産や不動産の上に存する権利、立木、事業用の減価償却資産並びに特定同族会社の株式及び出資をいいます。この場合の特定同族会社とは、相続や遺贈によって財産を取得した人又はその親族その他の特別関係者の有する株式の数又は出資の金額の合計額が、その会社の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を占めている非上場会社をいいます。
(注3) 相続した不動産等の財産の中に計画伐採立木又は都市緑地法の規定による特別緑地保全地区、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法の規定による歴史的風土特別保存地区及び森林法第25条第1項第1号から第3号までに掲げる目的を達成するために保安林として指定された区域内にある土地がある場合には、延納期間・利子税の割合について特例があります。
延納中の物納への変更
 相続税を延納中の者が、資力の状況の変化等により延納による納付が困難となった場合には、相続税の申告期限から10年以内に限り、延納税額からその納期限の到来している分納税額を控除した残額のうち一定の金額を限度として、物納に変更することができます。
 
  (2) 物納
    物納の要件
       次の要件の全てを満たす場合に、物納の許可が受けられます。
   
1) 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額として一定の方法により計算した金額を限度としていること
2) 申請財産が定められた種類の財産であり、かつ、定められた順位によっていること
3) 納期限までに申請書及び物納手続関係書類を提出すること
4) 物納適格財産であること
 

 

 

    物納に充てることができる財産の種類とその順位
     物納に充てることのできる財産は、納付すべき相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次表に掲げる財産(相続財産により取得した財産も含みます。)及び順位で、その所在が日本国内にあるものに限ります。
 なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産を除きます。
   
順 位
物納に充てることのできる財産の種類
第1順位
1) 国債、地方債、不動産、船舶
2) 不動産のうち物納劣後財産に該当するもの
第2順位
3) 社債、株式(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含む。)、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
4) 株式(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含む。)のうち物納劣後財産に該当するもの
第3順位
5) 動産
    (注) 相続開始前から所有していた特定登録美術品は、上の表の順位によることなく物納に充てることのできる財産とすることができます。
特定登録美術品とは、「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」に定める登録美術品のうち、その相続開始の時においてすでに同法による登録を受けているものをいいます。
 
    物納管理処分不適格財産
     物納に充てることができる財産は、国が管理又は処分するのに適したものに限られます。
     次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産に該当し、物納に充てることはできません。
   







1. 担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産
2. 権利の帰属について争いがある不動産
3. 境界が明らかでない土地
4. 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産
5. 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの
6. 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
7. 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含む。)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は二以上の者の共有に属する不動産
8. 耐用年数(所得税法の規定に基づいて定められている耐用年数をいう。)を経過している建物(通常の使用ができるものを除く。)
9. 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産
10. その管理又は処分を行うために要する費用の額が収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産
11. 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産
12. 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産
13. 地上権、永小作権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利が設定されている不動産で、次に掲げる者がその権利を有しているもの
・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者(以下「暴力団員等」という。)
・暴力団員等により事業活動を支配されている者
・法人で暴力団員等を役員等とするもの



1. 譲渡に関して金融商品取引法その他の法令の規定により一定の手続が定められている株式で、当該手続がとられていないもの
2. 譲渡制限株式
3. 質権その他の担保権の目的となっている株式
4. 権利の帰属について争いのある株式
5. 二以上の者の共有に属する株式(共有者の全員が当該株式について物納の許可を申請する場合を除く。)
6. 暴力団員等によりその事業活動を支配されている株式会社又は暴力団員等を役員(取締役、会計参与、監査役及び執行役)とする株式会社が発行した株式(取引相場のない株式に限る。)



物納財産の性質が上記の不動産又は株式に準ずるものとして税務署長が認めるもの
 

 

 

    物納劣後財産
     次に掲げるような財産は、他に物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り物納に充てることができます。
   
地上権、永小作権若しくは耕作を目的とする賃借権、地役権又は入会権が設定されている土地
法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地
次に掲げる事業が施行され、その施行に係る土地につき、それぞれ次に規定する法律の定めるところにより仮換地(仮に使用又は収益をすることができる権利の目的となるべき土地又はその部分を含む。)又は一時利用地の指定がされていない土地(当該指定後において使用又は収益をすることができない仮換地又は一時利用地に係る土地を含む。)
(1) 土地区画整理法による土地区画整理事業
(2) 新都市基盤整備法による土地整理
(3) 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業
(4) 土地改良法による土地改良事業
(注) 独立行政法人緑資源機構法が廃止されました。廃止前に開始された事業は独立行政法人森林総合研究所に引き継がれますので、経過措置により引き続き当該事業が実施された土地で仮換地等の指定がされていないものは物納劣後財産に該当します。
現に納税義務者の居住の用又は事業の用に供されている建物及びその敷地(当該納税義務者が当該建物及びその敷地について物納の許可を申請する場合を除く。)
劇場、工場、浴場その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地
建築基準法第43条第1項に規定する道路に2メートル以上接していない土地
都市計画法の規定による都道府県知事の許可を受けなければならない開発行為をする場合において、当該開発行為が開発許可の基準に適合しないときにおける当該開発行為に係る土地
都市計画法に規定する市街化区域以外の区域にある土地(宅地として造成することができるものを除く。)
農業振興地域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において農用地区域として定められた区域内の土地
10 森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地
11 法令の規定により建物の建築をすることができない土地(建物の建築をすることができる面積が著しく狭くなる土地を含む。)
12 過去に生じた事件又は事故その他の事情により、正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれに隣接する不動産
13 事業の休止(一時的な休止を除く。)をしている法人に係る株式
 

 

 

    収納価額
       物納財産を国が収納するときの価額は、原則として、課税価格計算の基礎となった財産の価額によります。
 したがって、「小規模宅地等の特例」又は「特定計画山林の特例」の適用を受けた相続財産を物納する場合については、特例適用後の価額が収納価額になります。
 

 

 

    物納に係る利子税
       物納申請が行われた場合には、物納の許可による納付があったものとみなされる日までの期間のうち、申請者において必要書類の訂正等又は物納申請財産の収納に当たっての措置を行う期間がある場合など一定の場合には、利子税がかかります。
 なお、利子税の割合は、年7.3%と特例基準割合(※)のいずれか低い割合になります。
  ※特例基準割合
  各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合