■相続税の計算のしかた

4.小規模宅地等の特例

(1) 特例のあらまし  
   個人が、相続又は遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人若しくは被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用に供されていた土地若しくは土地の上に存する権利(以下「宅地等」といいます。)又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分に応じて定められた一定の割合を減額します。
 なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
 また、被相続人から相続若しくは遺贈又は相続時精算課税に係る贈与により財産を取得したいずれかの人が、その被相続人から相続時精算課税に係る贈与により取得した一定の株式又は出資について平成21年改正前の租税特別措置法第70条の3の3第1項又は第70条の3の4第1項の規定の適用を受けていた場合には、この特例の適用を受けることはできません。
 
(2) 減額される金額  
   小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
相続開始の直前における宅地等の利用区分 要    件 限 度
面 積
(m²)
減 額
される
割 合
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等に該当する宅地等 330 80%
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の事業用の宅地等
特定事業用宅地等に該当する宅地等 特定事業用等宅地等 400 80%
貸付事業用の宅地等 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等
(一定の法人の事業の用に供されていたものに限ります。)
400 80%

貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
  (注1)  「宅地等」とは、建物又は構築物の敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利(農地及び採草放牧地は除かれます。)をいい、棚卸資産及びこれに準ずる資産を除きます。 
  (注2)  「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付け、その他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。 
  (注3)  上記の宅地等(A〜D)のうち、いずれか2以上の宅地等を選択する場合 
   特例の適用を選択する宅地等が、次のイ又はロのいずれに該当するかに応じて、限度面積を判定します。

特例の適用を選択する宅地等 限度面積
特定居住用宅地等(A)及び特定事業用等宅地等(B又はC)

特例を適用する宅地等のうちに、貸付事業用宅地等(D)がない場合
Aの適用
面積の合計
≦330m²
B及びCの
適用面積の合計
≦400m²
合計730m²
貸付事業用宅地等(D)及びそれ以外の宅地等(A、B又はC)

特例を適用する宅地等のうちに、貸付事業用宅地等(D)がある場合
Aの適用
面積の合計
×
200
───
330
B及びCの
適用面積の合計

×
200
───
400
Dの適用
面積の合計
≦200m²
 
(3) 特定事業用宅地等  
   相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。
 (次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)
 
  〔特定事業用宅地等の要件〕  
区  分 特例の適用要件
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等 事業継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
 
(4) 特定同族会社事業用宅地等  
   相続開始の直前から相続税の申告期限まで、一定の法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、次の表の要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。
 なお、一定の法人の事業の用に供されている部分で、次の表に掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。
   
  〔特定同族会社事業用宅地等の要件〕  
区 分 特例の適用要件
一定の法人の事業の用に供されていた宅地等 法人役員要件 相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
 
  (注)  一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等がその法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除きます。)をいいます。
   被相続人の親族等とは、被相続人の親族及びその被相続人と租税特別措置法施行令第40条の2第9項に定める特別の関係がある者をいいます。
   発行済株式の総数又は出資の総額には、法人の株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の全部について制限された租税特別措置法施行規則第23条の2第5項又は第6項に規定する株式又は出資は含まれません。
 
(5) 特定居住用宅地等
   相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の表(特例の適用要件)の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)をいいます。
   
  〔特定居住用宅地等の要件〕  
区 分 特例の適用要件
取得者 取得者等ごとの要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等 被相続人の配偶者  「取得者等ごとの要件」はありません。
被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に同居していた親族  相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
上記1及び2以外の親族  イからハに該当する場合で、かつ、次のニ及びホの要件を満たす人
 相続開始の時において、被相続人若しくは相続人が日本国内に住所を有していること、又は、相続人が日本国内に住所を有しない場合で日本国籍を有していること
 被相続人に配偶者がいないこと
 被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)である人がいないこと
 相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等 被相続人の配偶者  「取得者等ごとの要件」はありません。
被相続人と生計を一にしていた親族  相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
 
  (注) 「被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族」とは、次の1)又は2)のいずれに該当するかに応じ、それぞれの部分に居住していた親族のことをいいます。
1)被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」である場合
 被相続人の居住の用に供されていた部分
2)1)以外の建物である場合
 被相続人又は被相続人の親族の居住の用に供されていた部分
※「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」とは、区分所有建物である旨の登記がされている建物をいいます。
 
(6) 貸付事業用宅地等
   相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐輪場業及び準事業に限ります。以下「貸付事業」といいます。)の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
   
 
〔貸付事業用宅地等の要件〕
 
区 分 特例の適用要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等 事業継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
 
 
(7) この特例を受けるための手続
   この特例の対象となり得る宅地等又は「特定計画山林の特例」及び「特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例」の対象となり得る資産を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この特例の適用を受けようとする宅地等の選択についてその全員が同意しており、かつ、原則として相続税の申告期限までに分割されていることが必要です。
   
  (注)  申告期限までにこの特例の対象となり得る宅地等が未分割であっても、次のイ又はロに掲げる場合(「特定計画山林の特例」及び「特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例」の適用を受けている場合を除きます。)に該当することとなったときは、この特例の適用を受けることができますが、この場合、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求書を提出しなければなりません。  
   相続税の申告期限後3年以内に財産が分割された場合
   相続税の申告期限後3年を経過する日までに財産の分割ができないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたとき(税務署長の承認を受けようとする場合には、相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に、財産の分割ができないやむを得ない事情の詳細を記載した承認申請書を提出する必要があります。)