■相続税の計算のしかた

4.小規模宅地等の特例

(1) 特例のあらまし
   個人が、相続又は遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人若しくは被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用に供されていた土地若しくは土地の上に存する権利(以下「宅地等」といいます。)又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分に応じて定められた一定の割合を減額します。
 なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
 また、被相続人から相続若しくは遺贈又は相続時精算課税に係る贈与により財産を取得したいずれかの人が、その被相続人から相続時精算課税に係る贈与により取得した一定の株式又は出資について租税特別措置法第70条の3の3第1項又は第70条の3の4第1項の規定の適用を受け、又は受けている場合には、この特例の適用を受けることはできません。
 さらに、この特例の要件等については、平成22年3月31日以前に相続の開始があった被相続人に係る相続税と平成22年4月1日以後に相続の開始があった被相続人に係る相続税とでは異なりますのでご注意ください。
 なお、小規模宅地等の課税の特例の適用を受けようとする場合は、相続税・贈与税を専門とする税理士(TKC会員事務所)にご連絡ください。
   
(2) 平成22年3月31日以前に相続の開始があった被相続人に係る相続税
   平成22年3月31日以前に相続の開始があった被相続人に係る相続税において、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
相続開始の直前の状況(用途区分) 要    件 限 度
面 積
(m2)
減 額
される
割 合
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 不動産貸付業等以外の事業用の宅地等 特定事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
上記以外の宅地等(特定特例対象宅地等 200 50%
不動産貸付業等の事業用の宅地等 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
上記以外の宅地等(特定特例対象宅地等 200 50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等に該当する宅地等 240 80%
上記以外の宅地等(特定特例対象宅地等 200 50%
   
(注1)  「宅地等」とは、建物又は構築物の敷地の用に供されているもの(農地及び採草放牧地は除かれます。)をいい、棚卸資産及びこれに準ずる資産を除きます。
(注2)  「不動産貸付業等」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付け、その他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。
(注3)  「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「特定特例対象宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
A+(B×
)+(C×2) ≦ 400m2
  「特定事業用宅地等」又は「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計([1]+[3])
  「特定居住用宅地等」の面積の合計([5])
  「特定特例対象宅地等」の面積の合計([2]+[4]+[6])
 

A、B及びCの面積の端数処理に当たっては、その合計面積が400m2を超えないようご注意ください。

(注4)  宅地等のうちに被相続人等の事業の用若しくは居住の用に供されていた部分がある場合には、これらの用に供されていた部分のみが特例の対象となります。
 ただし、1棟の建物の敷地のうちの一部が「特定居住用宅地等」に該当する場合には、1棟の建物の敷地のうち「特定事業用宅地等」又は「特定同族会社事業用宅地等」に該当する部分以外のすべての部分は「特定居住用宅地等」に該当するものとします。
(注5)  この特例と「特定計画山林の特例、特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例」を併用して適用する場合には、こちらをご覧ください。

(3) 平成22年4月1日以後に相続の開始があった被相続人に係る相続税  
   平成22年4月1日以後に相続の開始があった被相続人に係る相続税において、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
相続開始の直前の状況(用途区分) 要    件 限 度
面 積
(m2)
減 額
される
割 合
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の事業用の宅地等 特定事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
一定の法人に貸付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
被相続人等の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等に該当する宅地等 240 80%
   
(注1)  「宅地等」とは、建物又は構築物の敷地の用に供されているもの(農地及び採草放牧地は除かれます。)をいい、棚卸資産及びこれに準ずる資産を除きます。
(注2)  「不動産貸付業等」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付け、その他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。
(注3)  「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
A+(B×
)+(C×2) ≦ 400m2
  「特定事業用宅地等」又は「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計([1]+[2])
  「特定居住用宅地等」の面積の合計([6])
  「貸付事業用宅地等」の面積の合計([3]+[4]+[5])
 

A、B及びCの面積の端数処理に当たっては、その合計面積が400m2を超えないようご注意ください。

(注4)  宅地等のうちに被相続人等の事業の用若しくは居住の用以外の用に供されていた部分がある場合には、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた部分のみが特例の対象となります。
(注5)  この特例と「特定計画山林の特例、特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例」を併用して適用する場合には、こちらをご覧ください。

(4) 特定事業用宅地等
   相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、その宅地等を取得した人のうちに、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する被相続人の親族がいる場合のその宅地等をいいます。

 平成22年3月31日以前に相続の開始があり、宅地等を取得した人が2人以上いる場合には、そのうちに1人でも下表のそれぞれの要件に該当する親族がいれば、その宅地等の全体が特定事業用宅地等に該当します。
 平成22年4月1日以後に相続の開始があった場合は、下表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限り、特例の適用を受けられます。

   
  〔特定事業用宅地等の要件〕  
区  分 特例の適用要件
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等 事業継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること


(5) 特定同族会社事業用宅地等
   相続開始の直前から相続税の申告期限まで、一定の法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうちに次の要件のすべてに該当する被相続人の親族がいるものをいいます。

 平成22年3月31日以前に相続の開始があり、宅地等を取得した人が2人以上いる場合には、そのうちに1人でも下表のそれぞれの要件に該当する親族がいれば、その宅地等の全体が特定同族会社事業用宅地等に該当します。
 平成22年4月1日以後に相続の開始があった場合は、下表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限り、特例の適用を受けられます。

   
  〔特定同族会社事業用宅地等の要件〕  
区 分 特例の適用要件
一定の法人の事業の用に供されていた宅地等 法人役員要件 相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
 
   
(注)  一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等がその法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除きます。)をいいます。
   被相続人の親族等とは、被相続人の親族及びその被相続人と租税特別措置法施行令第40条の2第8項に定める特別の関係がある者をいいます。
   発行済株式の総数又は出資の総額には、法人の株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の全部について制限された租税特別措置法施行規則第23条の2第5項又は第6項に規定する株式又は出資は含まれません。

(6) 特定居住用宅地等
 相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、その宅地等を取得した人のうちにそれぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族がいるものをいいます。

 平成22年3月31日以前に相続の開始があり、宅地等を取得した人が2人以上いる場合には、そのうちに1人でも下表それぞれの要件に該当する親族がいれば、その宅地等の全体が特定居住用宅地等に該当します。
 平成22年4月1日以後に相続の開始があった場合は、下表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限り、特例の適用を受けられます。

   
  〔特定居住用宅地等の要件〕  
区 分 特例の適用要件
取得者 取得者ごとの要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等 被相続人の配偶者
被相続人と同居していた親族  相続開始の時から相続税の申告期限(その親族が死亡した場合は、その死亡の日)まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人
被相続人と同居していない親族  被相続人の配偶者又は相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)がいない場合において、被相続人の親族で、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有に係る家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがなく、かつ、相続開始の時から相続税の申告期限(その親族が死亡した場合は、その死亡の日)までその宅地等を有している人(相続開始の時に日本国内に住所がなく、かつ、日本国籍を有しない人は除かれます。)
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等 被相続人の配偶者
被相続人と生計を一にしていた親族  相続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人
 
     
(7) 貸付事業用宅地等
(平成22年4月1日以後相続開始の場合)
 

 相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付行、駐車場業、自転車駐輪場業および順次業に限ります。以下「貸付事業」といいます。)の用に供されていた宅地等で、下表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(下表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。

   
区 分 特例の適用要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
 
   
(8) この特例を受けるための手続き
   この特例の対象となり得る宅地等又は「特定事業用資産の特例」の対象となり得る資産を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この特例の適用を受けようとする宅地等の選択についてその全員が同意しており、かつ、原則として相続税の申告期限までに分割されていることが必要です。
   
(注)  申告期限までにこの特例の対象となり得る宅地等が未分割であっても、次のイ又はロに掲げる場合(「特定事業用資産の特例」の適用を受けている場合を除きます。)に該当することとなったときは、この特例の適用を受けることができますが、この場合、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求書を提出しなければなりません。  
   相続税の申告期限後3年以内に財産が分割された場合
   相続税の申告期限後3年を経過する日までに財産の分割ができないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたとき(税務署長の承認を受けようとする場合には、相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に、財産の分割ができないやむを得ない事情の詳細を記載した承認申請書を提出する必要があります。