C.税率に関する経過措置


  1. 電話料金等の取扱い
  2. 平成9年4月1日以降の取引でも、電話料金、電気料金、水道水料金などについては、一定期間、税率が3%となることがあります。

    (1)税率に関する経過措置

     原則的に、平成9年4月1日以降のすべての課税取引については税率5%が適用されますが、取引の内容や契約の時期によっては、経過措置の適用を受けて4月1日以降の取引でも税率3%の取引があります。
     この経過措置は、消費税が導入された平成元年当時の取扱いに準じたもので、次の内容となっています。
    1. 旅客運賃等に関する経過措置
    2. 電気料金等に関する経過措置
    3. 請負工事等に関する経過措置
    4. 資産の貸付けに関する経過措置
    5. 役務の提供に関する経過措置
    6. 予約販売に係る書籍等に関する経過措置
    7. 発売日が適用日前である新聞・雑誌等に関する経過措置
    8. 通信販売に関する経過措置
    9. 有料老人ホームの介護に係る入居一時金に関する経過措置
    10. 割賦販売等及び延払条件付販売等に関する経過措置
    11. 長期工事の請負に関する経過措置
    12. その他の経過措置

    (2)電話料金等の取扱い

     平成9年3月31日以前から継続して供給又は提供される電話、電気、ガス、水道水等の料金で、平成9年4月30日までの間に、料金の支払を受ける権利が確定している金額には、税率3%が適用されます。
     この場合の「料金の支払を受ける権利が確定する」とは、例えば、電気、ガス等の計量器による定期的な検針等により把握された一定期間の使用料金の支払を受ける権利(つまり請求権)が確定したものをいいます。
     例えば、2か月に一度検針する水道料金の場合、前回の検針日は平成9年3月20日、今回の検針は同年5月20日としますと、前回確定日から今回確定日までの月数2か月に占める前回確定日から4月30日までの月数2か月(1か月未満は切上げ)の占める割合は2/2となりますから、今回の(5月20日)検針料金の全体に、税率3%が適用されます。

    (3)改正消費税テキスト参照頁

    1. 「消費税はこう変わる」:5頁
    2. 「消費税の新税率と経過措置」:4頁〜5頁

  3. 請負契約の取扱い
  4. 請負契約に基づく製造・建設については、契約日(指定日:平成8年10月1日)及び引渡日(適用日:平成9年4月1日)に従って、適用される税率が異なることになります。

    (1)請負契約等の経過措置

     平成8年9月30日以前に締結した工事(製造を含む)の請負契約に基づいて、平成9年4月1日以降にその請負契約の目的物の引渡しをした場合は、税率3%が適用されます。
     次の契約が、この経過措置の適用が受けられる請負契約に該当します。
    1. 工事又は製造の請負に係る契約
    2. 測量、地質調査に係る契約
    3. 工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計に関する契約
    4. 映画の製作に関する契約
    5. ソフトウエアの開発に関する契約
    6. その他の請負に係る契約

    (2)この経過措置の留意事項

    1. 書面での通知が必要
       この経過規定の適用を受ける工事・製造等については、取引の相手方に対し、その旨を書面により通知しなければなりません。この通知の方法は、請求書等にそのことを表示したものでもよいとされています。
    2. 特別注文が必要
       例えば、建築物の契約の場合には、内装や外装、設備の設置・構造について注文に応じて建築されたものも請負契約に含まれます。しかし、新築の分譲マンションで特別注文無しの標準モデルや建売住宅の売買契約については、経過措置の適用はありません。
       また、いったん不動産業者が建築した住宅について、顧客の注文を容れてその内外装の模様替え等をした上で販売する契約の場合には、その住宅が新築されたもので、しかも、その販売契約が平成8年9月30日以前である場合には、経過措置の適用が受けられます。
    3. 契約変更の取扱い
       経過措置が適用となる工事等において、平成8年10月1日以後に設計変更等が生じ、契約金額が増額となった場合には、増額された部分だけが税率5%の対象となります。
    4. 工期の遅れ
       平成8年10月1日以降の契約で、引渡日が平成9年3月31日前の工事が工期等の遅れで4月1日以降の引渡日となった場合には、当然5%の税率が適用となります。契約書上に「本体価額×××円、消費税(3%)××円」のように外税で明記している場合は、受注者の事情で工期が遅れたのであれば、発注者に5%の消費税負担を求めるのは難しい場合もありましょう。5%と3%の消費税差額は、受注者が負担することもありそうです。

    (3)改正消費税テキスト参照頁

    1. 「消費税はこう変わる」:5頁
    2. 「消費税の新税率と経過措置」:6頁

  5. リース料の取扱い
  6. 平成8年9月30日以前に契約したリース料金の税率は、平成9年4月1日以降であっても、一定の要件を満たす場合は3%となります。

    (1)リース料の経過措置

     平成8年9月30日までに資産の貸付けに係る契約を締結し、平成9年4月1日前から引き続きその契約に係る資産の貸付けを行っている場合は、平成9年4月1日以後に行うその資産の貸付けについては、税率3%が適用されます。この資産の貸付けには、通常のリース(賃貸借)といわゆるファイナンス・リースが該当します。

    (2)この経過措置の留意事項

    1. 契約日と開始日
       平成8年9月30日までに契約を締結したものであっても、平成9年4月1日前から資産の貸付けを実施していなければこの経過措置の適用は受けられません。
    2. 次の要件に該当する資産の貸付けについて、この経過措置の適用が受けられます。
      イ.通常のリース
         イ−1:リース期間及びその期間中の対価の額が契約で定められていること
         イ−2:事情変更等の理由による当該対価の額の変更ができる旨の定めがないこと
      ロ.いわゆるファイナンスリース
        ロ−1:リース期間及びその期間中の対価の額が契約で定められていること
        ロ−2:契約を解約できる旨の規定がないこと
         ロ−3:リース料の合計金額が、リース資産の取得価額(付随費用を含む)の90%以上であること
    3. 「対価の額」とは税抜き金額
       契約書上「消費税率の変更があった場合には変更後の税率による」等の旨を規定しているケースが少なくありません。仮に、リースの「本体価額」(税抜き価額)と「消費税額」の合計を「対価の額」とするならば、イ−2の要件に反することになり、経過措置の適用はないことになります。しかし、改正消費税法関連通達では、「対価の額は、リース料とこれに係る消費税額を区分している場合、消費税相当額を含まない」ことを明らかにしています。
       すなわち、「消費税率の変更があった場合には変更後の税率による」等の旨が契約書上規定されていても、イ−2には該当せず、経過措置の適用対象となります。
    4. 書面での通知が必要
       この経過規定の適用を受ける工事・製造等については、取引の相手方に対し、その旨を書面により通知しなければなりません。この通知の方法は、請求書等にそのことを表示したものでもよいとされています。
    5. リース料の変更
       平成8年9月30日までに契約を締結し、平成9年4月1日前から資産の貸付けを実施している場合であっても、平成8年10月1日以後、何らかの理由でリース料の変更が行われた場合には、その時点で経過規定の適用対象外となります。ただし、リース料の変更が、例えば、賃借人が修繕義務を履行しない場合などの「正当な理由」に基づくものである場合は、「リース料の変更」には該当しません。

      (3)改正消費税テキスト参照頁

      1. 「消費税はこう変わる」:5頁
      2. 「消費税の新税率と経過措置」:6頁〜7頁

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