Q&A経営相談室
「弁理士知財キャラバン事業」とは?
 
Q:
 知的財産について無料で相談できる弁理士知財キャラバン事業がスタートしたと聞きました。詳細について教えてください。(機械加工業)
 
<回答者>日本弁理士会副会長 橋本虎之助

A:
 国内企業全386万社中99.7%が中小企業(2012年)ですが、中小企業からの特許出願件数は3万3千件です。これは全企業数の0.9%にしかすぎません。知的財産の中には、意匠、商標、著作物、ノウハウなどもありますので、特許出願件数は一つの目安にしかすぎませんが、大多数の企業が知財に関わっていないか、理解が不足していると思われます。

「弁理士知財キャラバン」は、事業経営の中に知財(パテント、デザイン、ブランド、ノウハウなど)を上手く活用した事業戦略を立案する知財経営コンサルティングのスキルをもった弁理士が直接企業を訪問し、企業の業績アップに貢献する活動です。今まで知財は自分たちの会社には関係がないと思っていた中小企業の経営者の方々に知財の存在に気づいてもらい、知財の活用、戦略など知財マインドを高めていただきます。その結果として企業の業績に好影響をもたらすことがねらいです。支援を希望する全国の中小企業には平成27年度から積極的に訪問していく計画を立てており、今年度中に300社程度への訪問を考えています。

 日本の中小企業は良い技術やノウハウを持ちながら、それを事業に上手く生かして収益を拡大させていく戦略作りが不得意と言われています。自らが所有する優れた知的財産を再認識してもらい、それを活用していくためのアドバイスを行うのが弁理士知財キャラバンの活動です。現状の大企業の下請的な体質から抜け出して一歩上の事業を展開したい──弁理士知財キャラバンはそのような企業を応援するものです。

知財戦略をアドバイス

 支援を受けるための条件は「中小企業」という以外に特に制限はありません。個人事業主でも可能です。申し込みから派遣までの流れは以下の通りです。

 日本弁理士会ホームページから申請書をダウンロードして、必要事項を記入→申請書を日本弁理士会に提出(郵送、FAX、メール)→申請者に事前に申請内容に関して日本弁理士会から問い合わせが来る→内容の審査および支援弁理士の選定を行う→支援弁理士が訪問し、コンサルティングを実施(最大3回)。

 報酬、交通費等、必要な費用は全て日本弁理士会が負担しますので、費用はかかりません。ただし企業側で任意に作成する資料の作成費などは会社負担になります。

 コンサルティングでは、訪問先企業の事業戦略を見据えて、利用可能な知的財産(特許、実用新案、意匠、商標、著作権、ノウハウなど)を発掘し、知的財産を活用した事業戦略を立案します。支援弁理士(訪問弁理士)は知財コンサルティングスキルをもち、かつ訪問企業の地域の弁理士をできるだけ活用したいと思っています。訪問人数は1〜2名を想定しています。なお、弁理士には弁理士法第30条(秘密を守る義務)によって、「……その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない」と規定されており、弁理士または日本弁理士会が外部に秘密を漏らすことはありません。

 詳しくは、日本弁理士会広報・支援室弁理士知財キャラバン担当(0120─19─2723、caravan@jpaa.or.jp)までお気軽にお問い合わせください。

提供:株式会社TKC(2015年9月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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