Q&A経営相談室
【社員健康維持】
オフィスでできるかんたん花粉症対策
 
Q:
 今年も花粉症の季節がやってきました。社員とともに簡単にできる花粉症予防対策があれば教えてください。(ソフトウエア開発)
 
<回答者>湯島清水坂クリニック 医師 首藤紳介

A:
 花粉症対策として、社員の皆さんとそろって実行していただきたい方法が2つあります。

 まず1つめが「あいうべ体操」です。これまでの診療経験から、花粉症の人は口呼吸の方が多いようです。口呼吸の人は独特の顔つきをしている傾向があります。口が半開きのことが多く、下唇が前に出ていて厚ぼったい顔つきをしているなどです。その理由は、口を閉じていないため、表情筋などの顔の筋肉があまり使われないからです。また、舌が落ち込み、イビキをかきやすくなります。

 鼻ではなく、口での呼吸をくり返していると、乾いた空気や汚れた空気を直接吸い込んで、細菌やウイルスが喉の奥にある免疫組織を直撃し、体の免疫システムを狂わせます。

口呼吸を直す「あいうべ体操」

 口呼吸は、免疫システムを狂わせるため、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー、関節リウマチなどの自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎などさまざまな病気の発症と関係があります。

 口呼吸改善の第一歩は、「鼻呼吸で深い呼吸」と意識することで、「鼻から吸って、鼻から吐く」ようにしましょう。口呼吸改善トレーニングとしての対策の一つに「あいうべ体操」があります。次のような手順で行います。

  1. 「あ」と口を大きく開く。
  2. 「い」と口を大きく横に開く。
  3. 「う」と口を強く前に突き出す。
  4. 「べー」と舌を突き出して下に伸ばす。

 試してみるとわかりますが、行ったその場で目や鼻がスッキリし、花粉症の症状が軽くなります。顔から首へかけて熱くなりますが、それは血流が改善したからです。口呼吸の人は、「鼻が詰まっているから、鼻で呼吸できない」といいますが、口で呼吸するから鼻が詰まるのです。

 舌や口周りの筋肉が鍛えられ、舌が正しい位置に矯正されます。そして口を閉じる力がつくので、呼吸やイビキ症状は改善され、継続して行うことで花粉症の症状も改善されます。オフィスでデスクについたままできますし、朝の始業時や休憩時に、社員が一斉に「あいうべ体操」を行うのもよいでしょう。そうすれば、社内から花粉症は減少します。

筋肉の緊張緩める「脱力体操」

 実は、筋肉の緊張は花粉症などのアレルギーの原因になります。精神的緊張が多いライフスタイルは筋肉の緊張につながり、またパソコンなどのデスクワークは筋肉が緊張し、姿勢が悪くなります。筋肉の緊張は、自律神経のバランスが乱れやすくなりますし、血液やリンパ液の流れが滞り老廃物がたまります。自律神経のアンバランスは免疫システムを狂わせますし、「老廃物を出そう」とする体の反応そのものが、花粉症などのアレルギーの症状と考えられるからです。

 そこで2つめの対策は、「脱力体操」をすることです。脱力して深呼吸しながら肩や首を回します。肩を回す時は、頭を後屈させ、手を上げた状態で腕を直角に曲げて肩を後ろ回しにグルグル回します。また、立った状態で全身から意識的に力を抜き、体をクニャクニャさせます。クニャクニャさせ腰を落としながら歩いてもよいでしょう。体がゆるみ、心地よい感じがするなら、うまく脱力できています。

 社員そろって行うと、面白く愉快ですから、経営者の人が率先して行うとよいでしょう。

提供:株式会社TKC(2013年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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