Q&A経営相談室
【ISO認証】
ISO22301とは
 
Q:
 ISO22301という国際規格があると聞きました。規格の内容について詳しく教えてください。(倉庫管理業)
 
<回答者>ニュートン・コンサルティング コンサルタント 永峯登喜子

A:
 ISO22301は昨年5月に発行された事業継続マネジメントシステム(BCMS)の国際規格です。BCMSとは事業継続計画(BCP)を効果的かつ効率的に維持、改善するための経営手法です。なおBCPとは火災や地震など、事業中断をもたらしかねない事象が起こったときに、いかに人命を守り、事業継続するかをまとめた行動計画のことです。

 つまりISO22301は、企業がBCMSを効果的かつ効率的に導入、運用する場合の世界的に標準化された“参考書”であり、認証取得の際に従わなければならない基準(要求事項)でもあります。

BCMS認証取得のメリット

 BCMS認証は「規格に定められた仕様にのっとり、BCMSを導入、運用している」ことを公的機関が証明するものです。いわば、第三者からもらう“お墨付き”です。企業は、このお墨付きをもらうために国が認めた第三者機関(審査機関または認証機関ともいいます)の審査を定期的に受け、認証基準(ISO22301)を満たしていることを証明しつづける必要があります。

 BCMS認証取得の主なメリットとして、次の3点があげられます。

1.事業継続の可能性向上
 火災や地震などの事故・災害はいつ起こるか分からないため、BCMSへの長期的な取り組みが求められます。認証を取得するとBCMSの維持・改善活動をおこなっているかを第三者機関から定期的にチェックされます。そのためマンネリ化、形骸化を防ぎ、事故や災害発生時の事業継続の可能性を高めます。

2.ビジネスチャンスの拡大
 BCMS認証取得は、新規ビジネスを獲得する手段にもなります。近年、BCMSの有無が取引先選定や入札要件とされるケースが増えています。また、認証取得により取引先から自社に対する安心感を高め、顧客が競合他社へ発注をシフトする動きに対するけん制にもつながります。

3.経費の削減
 企業がBCMS導入、運用の有無について取引先から問い合わせを受ける機会が増えているだけでなく、確認方法も厳しくなってきています。今後はBCMSの具体的な取り組み内容について回答を求められるケースも増えてくると思われます。BCMSの認証取得は、取引先の代わりに第三者機関がBCMSの導入・運用状況を審査するため、BCMS取り組み状況の取りまとめ作業に関わる経費の節減につながります。なお認証取得は図表1(『戦略経営者』2013年2月号30頁図表1参照)のような流れになります。
 認証取得にかかる期間は、新たにBCMSを構築する場合、構築と運用に数カ月から1年程度、さらに審査で最短でも2カ月程度かかるのが一般的です。認証取得費用は対象となる範囲(事業内容、拠点数など)や審査を行う第三者機関によって異なります。図表2(『戦略経営者』2013年2月号30頁図表2参照)。に掲げた金額がおおよその目安になります。

 弊社でも「ISO22301認証取得支援サービス」を提供していますので、お気軽にご相談ください。

提供:株式会社TKC(2013年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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