Q&A経営相談室
【省エネ】
工場内の電気代を効果的に削減する
 
Q:
 業績低迷の折り、冷房など工場内電力の省エネでコスト削減したい。どうすればよいでしょうか。(部品製造)
 
<回答者>ユニヴァ・キャピタル・ジャパン代表取締役社長 佐野敦彦

A:
 電気代をはじめ光熱費削減を行う場合、調達改善→運用改善→設備改善という順序で行います。

 調達改善というのは、「契約の見直し」のことです。電力会社への契約変更申請書を提出するだけで、電気料金が削減できるのです。

 通常、企業は電力会社の言われるがままに標準的な契約を結び料金を支払います。ところが、その会社の電力使用形態によっては、別の契約スタイルを採用することもできるのです。夜間電力使用量の多い会社は「従量電灯」から「時間帯別電灯」という契約に変更すれば、昼間使用量は1キロワット当たり5円超上がりますが、夜間使用量が約15円下がります。24時間営業の店舗、あるいは夜間に頻繁に操業する工場などは、この契約への変更でかなりコスト削減できます。

 このほか「低圧高負荷契約」や「ウィークエンド契約」など、電気料金には約30もの多様な契約形態があり、それぞれに変更したり、組み合わせて最大削減効果を実現することも可能です。

 「運用改善」はスタッフの努力による節約の徹底です。照明をこまめに消す。機器は元から切る。冷房の場合には、設定温度を下げる…など、いわば常識的なことですが、徹底するのはなかなか難しく、人的ミスによる退社時や休日前の空調や照明等の切り忘れは積もると案外大きな無駄になります。場合によっては記録をとり、傾向を分析する作業、意識の低いアルバイトなどには徹底した教育が必要になるかもしれません。

 最後に設備改善。一定の時間以降は自動的に切れるセンサー等による自動制御は比較的低コストで省エネを確実に実行できます。

 また、コストは発生しますが電力会社も認める手法がデマコン(デマンドコントローラー)による「設備改善」で、簡単に言うと「省エネハード設置による契約変更」。詳しくは、当社(ユニヴァ・キャピタル・ジャパン・エスコディビジョン)のような専門家に相談して下さい。

 電力会社との契約は「デマンド契約」と呼ばれ、過去1年間の最大需要電力(デマンド値)を元に、基本料金が決定されるので、夏場のピーク時の数値さえ抑えれば、かなりの額を削減できます。そのため、デマコンをつければ確実に電気料金の基本料金と使用料を削減できるのです。

 たとえば当社の場合、先に設備費用及び工事費用を我々が持ち、基本料金が翌月より下がる事を電力会社より確認できた段階でリースを組むことも可能。実行には条件がありますが、可能な場合、企業側はリスクゼロで省エネ設備を投下することができます。

 その他、照明設備でも電力削減が可能です。照明は、消費電力自体をほぼ理論値通りに削減できます。たとえば、インバータ照明は、蛍光灯や水銀灯などの照明器具の銅鉄式の安定器を電子安定器に交換し、蛍光灯や水銀灯などもHFタイプ用に交換するもので、現状の照度を保ちながら、消費電力だけを確実に落としていきます。また、最近需要が急伸しているLED照明は、50%〜80%もの消費電力を削減。電球寿命も約4万時間もあるので、1日10時間を無休で使用しても10年以上も交換不要となります。放熱自体も非常に少なく、冷房時の空調負荷も格段に少なくなります。

 今後、工場では、コストダウンのみならず、省エネ法対応やCSRも含めた省エネルギーが最重要課題になってきます。工場全体のエネルギーを見直す、いいタイミングではないでしょうか。

提供:株式会社TKC(2010年8月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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