Q&A経営相談室
【人  事】
技術系の優秀な人材を採りたい
 
Q:
 いまこそ、技術系大学から優秀な人材を採りたいのですが、いままで新卒を採用したことがありません。何から始めて、どうすればよいのでしょうか。(機械部品加工業)
 
<回答者>人事政策研究所 望月禎彦

A:
 大まかな手順は「対象者を集める」→「説明会の実施」→「試験の実施」となります。まず対象者を集めなければなりません。中小企業が効果を上げるには、(1)対象校に求人票を送る(2)合同説明会に参画する(3)求人サイトに出稿する…の3つの手法があります。

 (1)対象校に求人票を送る

 自分達が採用をしたいと思う大学へ求人票を送ります。学校ごとに指定のフォームがあります。各大学の就職部に連絡をし、フォームをもらい記入します。各大学ではこれを学生に掲示をします。費用は無料ですが、せいぜい5名集めれば良い方でしょう。以前は、研究室訪問をおこない、担当教授にアプローチをしましたが、今はこの方法は全く効果がありません。技術系学生も文系学生同様、自由応募になったためです。

 (2)合同説明会に参画する

 費用対効果を考えると、現在最も効果的な方法です。各企業は合同説明会会場にブースを設置し、学生達がそのブースを訪れます。その場では会社概要を説明し、次のステップで説明会に来てもらうよう誘引するのです。公的機関がおこなうものは参加費無料です。就職専門会社が主催するものは1日あたり30万円程度かかりますが、50名単位で集客が可能です。

 (3)求人サイトに出稿する

 リクルート等が主催する求人サイトに出稿するやり方です。サイトを見た学生はメールで応募をしてきます。100万円程度かかりますが、100名単位での集客が可能です。

 現在、未曾有の不況で、採用に関して企業側が有利な状況だからと言って安易に考えてはいけません。特に機械・電気系の学生の採用は大手企業ですら難しいのです。まず中小企業には、『優秀な人材は集まらない』ということを肝に銘ずるべきです。

 では「優秀な人材」とは何か。現代のように商売上の変化が激しい世の中になってくると、自分で燃えて、自分自身で判断し、自分自身でやり方を考え、すぐさま実行に移していく、こういう人材を「優秀な人材」と定義できるでしょう。「優秀な人材」は採用市場の中でも多くはありません。総体の20%程度と考えるべきです。この人材はまず採れない。

 ではどこを狙うか、その下のクラスの人材です。すなわち“誰かに火を付けてもらえば、すぐ呼応して動き出す”人たち。ただしこの人たちの層は幅広いので、なるべく上位クラスの人材をとるよう心がけることが重要です。

 加えて、採用活動をおこなっていく上で重要なポイントがあります。選別するのではなく、選別されているのだという考え方です。「まともな人材」でさえ中小企業には少数しか応募してくれません。従って選別することは必要ない。「まともな人材」の上位クラスはすぐにわかります。二言三言、話をすれば十分判断が可能なはずです。それよりも、かりにそういう上位クラスの人材が来たときに、当社のことを選んで頂けるかどうかが一番の問題なのです。

 具体的には次の2つの手法を展開します。

 (1)当社で「一番魅力的な人」が全面に出て採用をおこなう。一番魅力的な人とは恐らく社長でしょう。じっくりと話をする場を設ける。入社したくなるような説明会・面接を演出する。

 (2)共通に語りあえるツールを持つ。求める人材観や会社のウリを、わかりやすく明確にする。

提供:株式会社TKC(2010年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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