Q&A経営相談室
【IT】
「ウェブ会議」を導入したいのですが、費用は?
 
Q:
 つい最近、知り合いの会社で「ウェブ会議」を導入したという話を聞きました。導入コストやメリットなどについて教えてください。(卸売業)
 
<回答者>日本能率協会コンサルティング R&D革新本部
チーフ・コンサルタント 笠井 洋

A:
 最近、業種・業態、企業規模を問わず「ウェブ会議」に対する関心が高まってきているようです。経営環境が一段と厳しくなり、コスト抑制が大きな課題になっていることが背景にあると思います。

 それではウェブ会議とは、どのようなものなのか。端的にいえば、「パソコンを使いインターネット(イントラネット)を通じて行う会議」のことです。

 従来の「テレビ会議」との違いは、会議を効率的な“場”にするために、会議で必要な情報の共有や、その場で議論した内容を電子データとして加工・保存できることです。また、音声情報だけでなく、文字(チャット機能)での意見交換も可能な機能を備えていることが多く、新たな“コミュニケーション・ツール”として関心が寄せられています。

 そこで、まずウェブ会議導入を検討するにあたって、次の3つを押さえておくことが重要です。

1.ウェブ会議システムの構成を知ること……(1)会議を行うための共通的な機器として、ハードウェアに関してはウェブ会議用サーバ、ネットワーク、ソフトウェアに関してはウェブ会議用ソフトウェアが必要です。(2)会議に参加するユーザーのための機器として、ハードウェアに関してはパソコン、UBSカメラ、ヘッドセット。

2.費用(概算)を知ること……ウェブ会議システムを導入するにあたっては、主に2つの方法があります。1つは自社でウェブ会議に必要な機器を購入し運用する方法(サーバ導入型)、今1つは機器は購入せずインターネット経由でウェブ会議サービスの時間貸し(月単位)を利用する方法(ASP型)です。サーバ導入型の費用は、会議用サーバが100万円程度から、ソフトウェアは100万円程度からです。ASP型の初期費用は数万円程度、月額利用料は2000円程度(1ユーザー当たり)からとなっています。

3.ウェブ会議の活用事例(メリット)を知ること……ウェブ会議を導入すると、(1)出張旅費・時間の低減、(2)会議の見直し(出張の要否、会議のやり方の改善)、(3)テレビ会議システムと比較して安価な費用などのメリットがあります。

 例えば、全国に複数の営業拠点を持つある中堅企業では、営業部門の定例会議(本社)にウェブ会議を活用しています。従来、冬場に会議を行おうとすると、東北や北陸地域の担当者は積雪などによって苦労を余儀なくされたのですが、ウェブ会議を導入してからは(会議に出席するための)移動時間削減や、移動時の交通事故などのリスクを回避することができました。

 また、在宅勤務制度を導入しているある会社では、オフィスと自宅間で業務の進捗状況の確認や、報告・連絡・相談にウェブ会議を活用しています。ただし、このケースで注意しなければならない点は、会社にきて話し合わなければならない場合の会議と、ウェブ上で済ますことができる場合とに使い分けるということです。

 さて、実際に導入するにあたっては、(1)導入目的(出張旅費、時間の低減、業務時間の確保、コミュニケーションの促進等)、(2)導入環境(導入拠点数、セキュリティ等)、(3)運用方法――を明確にすることが重要です。

 いずれにしろ、会議にかかるコストを抑え、かつより効率的な場にしていく手段として、ウェブ会議の導入を一度考えてみたらいかがでしょうか。

提供:株式会社TKC(2009年8月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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