Q&A経営相談室
【セキュリティ】
PCウイルス「USBワーム」への対処法
 
Q:
 USB経由で感染するPCウイルスが蔓延していると聞きました。どのような被害をもたらすウイルスなのでしょうか?(広告代理店)
 
<回答者>トレンドマイクロ株式会社 戦略企画室長 小屋晋吾

A:
 データの受け渡しに便利なUSBメモリ。持ち運びのしやすさや、大容量化と低価格化が後押しし、ビジネスの場面でも多く使われています。

 しかし近年、USBメモリなどUSB接続のリムーバブルメディア(外部記憶装置)を経由して感染を拡げる不正プログラム「USBワーム」の被害が急増しています。トレンドマイクロに寄せられたUSB関連の不正プログラムの被害報告は、2008年だけで2,870件にも上りました。

 USBワームは「オートラン」という設定ファイルを悪用し、自身を自動実行させるよう指示することで感染を拡大しました。パソコンにソフトウェアをインストールするためにCDを挿入すると、自動的にCDが起動し画面が立ち上がることが多くあります。これはウィンドウズの「自動再生機能」が、CDに含まれる設定ファイルの「オートラン」が指示するプログラムを実行させることによるものです。この機能はCDだけでなくUSBメモリなどでも利用されており、それをUSBワームは悪用しているわけです。

感染時には7つの手順で対策を

 パソコン内部に侵入したUSBワームは同一のネットワーク内部や別のUSBメモリなどに自身をコピーして感染を広げていきます。実際にある国内企業では、海外出張先で使用したUSBメモリを日本で使用したところ、社内でウイルス感染が発生してしまったという事例がありました。

 また、USBワームは感染したパソコンから外部のWebサイトと通信し別のウイルスをダウンロードする特徴を持ちます。最終的にはパソコン内に保存された情報やキーボードの入力情報を送信したり、パソコンを遠隔操作することもあるので、情報漏えい防止の観点からも対策は不可欠です。

 感染を防ぐためには、ウイルス対策ソフトを導入し常に最新の状態に保つことはもちろん、家庭用と会社用のUSBメモリを分ける、持ち主のはっきりしないUSBメモリは安易に使わない、などの運用面の対策も必要です。

 また、ウィンドウズの設定でUSBメモリの自動再生機能をあらかじめ無効にしておくことや、USBメモリからファイルを開く前に必ず対策ソフトでウイルス検索を行うことも効果的といえるでしょう。

 万が一感染してしまった場合は、図(〔『戦略経営者』2009年3月号29頁〕図参照)で示した7つの手順で駆除作業を行ってください。

 USBワームに限らず、近年はWebサイト経由で感染を拡大するウイルスが急増しています。不正なWebサイトへの接続を止める「Webレピュテーション」など最新の技術を活用した製品を導入することで、セキュリティ強化を実現してください。

提供:株式会社TKC(2009年3月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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