Q&A経営相談室
【公的支援】
「新連携」支援制度を活用するには
 
Q:
 取引先と新しい事業を立ち上げたいと計画しています。その際、国のサポートや補助金が受けられる「新連携」支援制度を活用したいのですが、留意点を教えてください。(金型製造業)
 
<回答者>中小企業基盤整備機構 関東地域活性化支援事務局
統括プロジェクトマネージャー 柳沢剛

A:
 誤解されている方も多いのですが、「新連携」の認定を受けるには、同分野企業ではダメです。異分野企業の連携であることが絶対条件なのです。「異分野」とは、日本標準産業分類における細分類(4桁)が異なることをいいます。ただし、同分野の企業同士であっても、持ち寄る経営資源が異なれば大丈夫。また、コア企業を含めて2社以上の中小企業が参画すれば、連携する組織は大学でもNPOでも、あるいは大企業でもかまいません。たとえば、中小企業の連携体が生産を担当し、大企業が販売ルートを受け持つという手法は大いにあり得ることです。

 次に条件となるのが「新規性」です。「業界初」あるいは「地域初」などという冠が必要になります。特に、ものづくり企業の場合には、実際に流通する商品は地域の垣根はないことから、日本初、世界初の取り組みでないと、認定が難しくなるかもしれません。少なくとも、すでに事業化されているもの、類似事業が存在するものは認められない可能性が高いと思います。

 最後に「事業性」です。いくら適正な連携体で新規性があっても、開発する商品が割高で販売が難しかったり、利益率が低く投資回収ができないような事業は認定を受けることができません。一概にはいえませんが、10年で投資額を回収できる見通しがないと難しいでしょう。

 この3つの条件をクリアした事業であれば、検討の俎上に乗せることができます。たとえば製造業では、ある程度研究開発や市場調査が済んで、プロトタイプくらいはできている状態で、窓口に相談に来られる方がスムーズに行くでしょう。

 直接の相談窓口は中小企業基盤整備機構の「新連携支援地域戦略会議事務局」になります。ここで、同事務局のプロジェクトマネジャーと一緒になって、その事業にブラッシュアップを施していき、「認定」を目指します。

 「必ず事業化する」ことが認定の条件ですから、我々も真剣にサポートします。たとえば、商品を評価したり、デザインを付け加えたり、知的財産権を確立したり、金融機関の支援を取り付けたりしながら、並行して3〜5ヵ年の事業計画書をつくり上げていきます。

 そして、その計画書をコア企業の所在地を所轄する経済産業局に申請して、いよいよ「認定」ということになります。この認定をとって初めて、補助金などの支援を受けることができるわけです。ちなみに、補助金は上限3000万円で、対象経費の3分の2以内となります。別途申請をして頂く必要があり厳密な審査が行われますので、満額が支払われるとは限りません。

 また、留意すべきことは、生産機械購入など直接の生産活動のためにこの補助金は使えないということです。使えるのは、商品の試作・実験やデータ収集、あるいは展示会への出品など事業化・市場化のための活動になります。

 今年の3月末現在で、新連携の認定実績は462件。コア企業が20人以下の小規模企業である事例が全体の5割以上を占めています。ユニークさがマスコミに注目されたり、実際に成果を出す連携体もポツポツと現れるようになってきました。連携事業に関する有望なアイデアと計画をお持ちの経営者の方。是非一度、事務局に相談してみることをお奨めします。

提供:株式会社TKC(2008年9月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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