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平成20年4月1日から、「中小企業雇用安定化奨励金」という助成金が新たに設けられました。パート従業員や契約社員などの非正社員を正社員にする会社を対象にしたものです。
この助成金が創設された背景には、働く人の約30%にまで増えた非正社員を、正社員化させようとする目的があります。厚生労働省では、特にパート従業員などの人数が多い中小企業に助成することにより、「雇用の安定化や社会保険加入の増加による社会保障制度の安定化が図れるのではないか」と見ています。
この助成金の支給対象となるには、以下の主な要件が必要です。1) 中小企業事業主であること、2) 雇用保険の適用事業主であること、3) 新たに有期契約労働者を通常の労働者(正社員)に転換させる制度を労働協約または就業規則に定めるとともに、1人以上を通常の労働者に転換させた事業主であること、4) 転換制度を公正かつ適正に実施していることの4つです。
この場合の中小企業事業主とは、「製造業・その他の業種」や「サービス業」など業種ごとに条件が異なります。製造業・その他の業種については、「資本金3億円以下または常時雇用する労働者数300人以下、卸売業では資本金1億円以下または労働者100人以下の企業」が該当します。サービス業の場合は「資本金5000万円以下または労働者数が100人以下」、そして小売業では「資本金5000万円以下または労働者50人以下の企業」です。
有期契約労働者とは、半年契約や1年契約など期間の定めのある労働者のことです。「契約社員」「嘱託社員」「パートタイマー」などの名称にかかわらず、期間契約のある労働契約を結んでいる労働者を期間の定めのない正社員などとして、新たに労働契約を結んだ場合に助成金の対象となります。
助成額「35万円」が支給
なお、パートタイマーなどから正社員への転換制度がすでに就業規則に規定されている会社については、残念ながら対象になりません。平成20年4月1日以降に就業規則などに正社員への転換制度を定めた会社で、該当となった正社員が1人以上いる場合に助成されることに注意してください。
また転換制度については、就業規則などに転換の条件が明示されているとともに、運用も公平でなくてはなりません。ただし、対象となる方だけでなく全従業員に対して回覧や掲示板への掲示などで転換条件が明示されており、なおかつ要件を満たす希望者が応募できるのであれば、「勤務成績のよい契約社員やパートタイマーを対象として正社員とする」という制度も可能です。
助成額については、新たに転換制度を導入・適用し有期契約労働者が1人以上、正社員などに転換された場合に35万円が支給されます。さらに転換制度を導入した日から3年以内に直接雇用する有期契約労働者が3人以上、正社員などへ転換された場合は、対象労働者1人につき10万円(10人を限度)が支給されます。
なお対象労働者が母子家庭の母等である場合には、母子家庭の母等である対象労働者1人ごとに15万円が支給されます。
ちなみに、制度を導入した場合の支給申請手続きは、1ヵ月の基本給を支給した日の翌日から1ヵ月以内です。
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