Q&A経営相談室
【危機管理】
食品の不正監視の目を養うには
 
Q:
 食品の偽装表示が相次いでいますが、食品業界の非常識はまだまだあるように思えます。消費者が不正監視の目を養うにはどうすればいいのでしょうか。(サービス業)
 
<回答者>食品表示アドバイザー 垣田達哉

A:
 消費者が不正監視をすることは非常に難しい時代ですね。昨年の偽装事件でも、ミートホープのように「DNA鑑定」でないと証明できないとか、赤福や船場吉兆のように「内部告発」でなければ見抜けないものばかりです。

 しかも、消費者が一番信頼していた老舗(赤福)や有名企業(白い恋人、船場吉兆など)、大手企業(不二家、マクドナルドなど)の偽装が発覚したことで、何を信用していいのかわからない時代になっています。

 では、あきらめるしかないのかというと、そんなことはありません。不正監視の目というほどではありませんが、食を見る目を養うことはできるような気がします。

五感で違いを判断

 「赤福が冷解凍できるんだ」と驚いたのは私だけではなかったと思います。少なくとも3年間で605万個もの解凍赤福が出荷され、その間、誰も気づかなかったのは「冷解凍技術が素晴らしいからだ」と私は思っていました。

 ところが、その後いろいろな人(特に愛知県の人たちですが)から「ここ数年味が落ちたので買うのを止めていた」とか「特に駅売りは不味かった」「解凍餅だとわかっていた」といった声を聞きました。私のように、めったに食べない者にはわからなくても、食べ慣れている人には、味の違いは一目瞭然だったようです。

 私も解凍赤福餅を再現しようと試みたテレビ番組に出演した時、冷解凍された餅を食べましたが、ちょっと硬いので、生の餅という感覚ではありませんでした。餅を解凍して元に戻すのは至難の業のようです。

 まだまだ人の舌、味覚も捨てたものではありません。いわゆる五感を働かせれば、偽装を見破るまではいかなくても、意外と違いはわかるようです。

 もちろん、食べ慣れていないと、その違いもわからないでしょうが、いろいろと比較してみると、新たな発見があるかもしれません。

 土産物では難しいですが「同じ物が並んでいればどれが良いか、色、艶、形などを比較してみる」「店を替えて味や鮮度を比較してみる」といったことを心がければ、違いがわかる消費者になれると思います。

 また、昨年偽装が多かった消費・賞味期限ですが、最近は、消費と賞味の違いを理解していながら「消費だろうと賞味だろうと期限を過ぎたものは食べない」という人が増えているようです。

 「期限が近づくと慌ててすべて食べようとする」か「期限が過ぎたものは捨てる」、特に「子供にだけは、期限が切れた食品を絶対食べさせない」というお母さんが増えています。

 製造年月日から期限表示に変更されたのは1995年4月1日です。製造年月日時代は、賞味期間が表示してなければ、いつまで食べられるかは、五感で判断していました。期限表示の現在は、腐っているかどうかを五感で判断しなくても、「期限までは食べられる」ということになりました。

 消費期限切れは食べないほうがいいのですが、賞味期限切れはまだ食べられます。

 期限切れのものを子供に食べさせることはお勧めしませんが「消費期限を過ぎるまで残さない」「残さないような買い方・食べ方をする」「賞味期限を過ぎたものでも五感で判断して、食べられるものは食べるようにする」といった努力もして欲しいものです。

 そうした習慣を身に付ければ、どれが新鮮で、どれがおいしいかを見極めることができるようになるのではないでしょうか。

提供:株式会社TKC(2008年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
戻る ▲ ページトップへ戻る