Q&A経営相談室
【人材採用】
外国人雇用「届け出」の義務化とは
 
Q:
 外国人を雇用している会社は企業規模にかかわらず届け出の義務があると聞きました。これまで、そうした対応をまったくしてこなかったので心配です。詳細を教えてください。(自動車部品製造業)
 
<回答者>社会保険労務士 三留敏明

A:
 先の通常国会で「雇用対策法」が改正され、平成19年10月1日から「外国人雇用状況報告制度」が新しい制度になります。
 今後、すべての事業主は、特別永住者および在留資格の「外交」「公用」の者を除く外国人を労働者として新たに雇い入れた場合、あるいは雇用する外国人が離職した場合には、当該外国人の氏名、在留資格、在留期間、国籍、生年月日、性別等(以下、「必要事項等」)について確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることが義務づけられます。届け出を怠ったり、虚偽の届け出を行ったりした場合には、30万円以下の罰金の対象となります。
 これまでは、従業員50人以上の事業場に、毎年6月1日時点の外国人労働者の雇用状況に関する報告が求められていました。しかしこれはあくまで任意で、罰則も設けられていませんでした。平成19年10月以降は、この報告制度は廃止されます。
 また、事業主には、外国人労働者の雇用管理の改善および再就職支援の努力義務も課せられました。これらの制度改正により、国は不法就労を防ぐとともに、外国人雇用に関する助言や指導、あるいは離職した外国人への再就職支援を効果的に行うものとしています。

届け出の際の留意点

 雇い入れた外国人を雇用保険に加入させる場合には、雇用保険の取得届または喪失届を提出する際に、在留資格、在留期間、国籍などを届出用紙の備考欄に記入して届け出をします。届出期限は、雇用保険の取得届または喪失届の提出期限と同様で、雇い入れの場合は翌月10日まで、離職の場合は翌日から起算して10日以内です。
 また、雇い入れた外国人を雇用保険に加入させる必要がない場合には、ハローワークで専用の届出用紙を入手し、必要事項等を記入して届け出ます。届出期限は、雇い入れ、離職の場合ともに翌月末までです。
 平成19年10月1日の時点で、すでに雇用している外国人労働者については、平成20年10月1日(法律の施行後1年以内)までに届け出ます。ただし、この間に離職した場合は、その時点で届け出ることになります。
 留学生が行うアルバイトも届け出の対象となるので、注意が必要です。

プライバシーへの配慮も

 事業主は、当該者が外国人であると一般的に判断できる場合に、必要事項等を確認し、届け出をしてください。外国人を雇い入れる場合には、「外国人登録証明書」「旅券(パスポート)」「資格外活動許可書」「就労資格証明書」などを必ず確認してください。
 新たに雇い入れる者が、通称として日本名を用いていたり、日本語が堪能であったり、当該者が外国人と判断できにくいケースもあります。このような場合、当該者に必要事項等を無理に確認したり、必要以上の調査を行うことを求めるものではありません。また、届け出に関する必要事項等を超える事柄の確認を求めるものでもありません。当該外国人の人権やプライバシー保護の観点からも、この点に十分留意してくださ
 わが国の労働市場においても、グローバル化が急速に進展しています。外国人の方々に日本で安心して働いていただき、社会に貢献してもらうためにも、外国人労働者の適正な雇用管理を進めていくことが必要です。

提供:株式会社TKC(2007年10月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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