Q&A経営相談室
【税務申告】
電子申告を始めるにはどうすれば?
 
Q:
 平成19年度税制改正により電子申告が始めやすくなると聞きました。この機会に電子申告を始めたいと思っています。その手順を教えてください。(事務機製造)
 
<回答者>税理士 岩田真実

A:
 平成16年2月に名古屋国税局管内から始まった国税の電子申告も4年目に入りました。インターネットで私達の生活は飛躍的に便利になりました。この便利なインターネットを利用して国税に関する申告や納税、申請・届出等の手続きができるシステムがe-Tax(国税電子申告・納税システム)です。
 e-Taxでは所得税、法人税、消費税等の申告が行え、インターネットバンキングやATMを利用して国税の納税もできます。また各種税務に関する申請や届出等の提出も可能になりました。e-Taxを利用すれば自宅や事務所から申告や納税が行えるので税務署へ行く時間や金融機関に並ぶ時間を有効に使えます。また受付システムの利用時間内であれば、税務署の閉庁時間でも申告や届出が行えます。申告書を印刷する手間も省かれペーパーレス化を図ることができ事務の効率化が進みます。
  さて電子申告を始めるには、まず開始届出書を納税地の所轄税務署へ提出します。開始届出書の提出は国税庁のホームページからオンラインで提出する方法と書面により提出する方法があります。最近では本人確認書類の添付が不要になり提出が簡単になりました。
 次に電子証明書を取得し、ICカードリーダライタ等を取得・設定します。電子申告ではこれまで申告書に行っていた署名押印の代わりに申告等データに電子署名をします。電子申告で利用できるものには住基カードに格納されている電子証明書等があります。なお、このようなICカードに格納されている電子証明書を読み取るためICカードリーダライタの取得・設定が必要です。
 開始届出書提出後、税務署から利用者識別番号や仮暗証番号、e-Taxソフトの入ったCD-ROMが届きます。届いたらe-Taxソフトをインストールし通知書に記載されている登録期限までに暗証番号の変更をします。これで電子申告の準備は完了です。あとはe-Taxソフトを利用して申告書等を作成し、作成したデータを送信します。e-Taxで送信できない添付書類を税務署へ送付すれば申告の完了です。
 また、他に「TKC電子申告システム」を使う方法もあります。その場合は、TKC会員税理士のサポートを受けることができるので、電子申告の事前登録も国税ソフトや地方税ソフトを活用するよりも簡単にできます。


所得税の税額控除制度

 平成19年度税制改正によって、電子証明書を取得した個人の平成19年分または平成20年分どちらかの所得税の確定申告に電子証明書を付けて期限内に申告した場合には、所得税額から5000円(その年分の所得税額を限度)の税額控除を受けることができるようになります。さらに平成19年1月4日以後については、税理士等が関与している場合に限り納税者の電子署名を省略し税理士等のみの電子署名で電子申告することが可能となりましたので、電子証明書を取得する手間とコストも不要になります。
 他にも、次のような変更があります。(1)平成19年分以降の所得税の電子申告についてはこれまで別途送付していた医療費控除の領収書等の添付を省略することができるようになる。(2)電子申請等証明制度が創設されe-Taxにより申請等を行った場合、税務署長等へ請求することにより申請等の日付、名称や送信した内容の証明を受けられるようになる。
 今後さらに便利になる電子申告。まずは開始届出書の提出から始めてみましょう。なお、疑問等があれば電子申告の普及に力を入れるTKC全国会の会計事務所にお問い合わせください。

提供:株式会社TKC(2007年2月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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