Q&A経営相談室
【人材確保】
ジョブカフェで若手人材を確保するには
 
Q:
 社員の高齢化に伴い、ジョブカフェを活用した若手人材の求人・採用を考えています。その際の留意点を教えてください。(運送業)
 
<回答者> 就職・採用アナリスト 斎藤幸江

A:
 ジョブカフェ(若年者就職支援センター)とは、2003年に政府の「若者自立・挑戦プラン」の中核的施策として発足したもので、各自治体のニーズにあった若者(おおよそ30〜35才以下)の就職を支援するワンストップショップです。
 同様の目的の公的機関は従来もありましたが、管轄によりサービスの内容に制限がありました。たとえば、「ヤングジョブスポット」などの雇用能力開発系の機関では、自己分析や自己理解のサポート、就職にあたっての悩みなどのカウンセリング、スキルアップ支援を提供します。しかし、求人情報の斡旋は管轄外です。かたや「ヤングハローワーク」などの職業安定系の機関は、求人情報の提供や職業の斡旋はできますが、職業訓練の提供や紹介はできませんでした。
 こうした分業型の弊害を解消するためサポートサービスの入口を集約したものがジョブカフェです。多くは若者向けハローワークや能力開発系の機関を併設もしくは徒歩数分圏内に擁し、連携を図れる仕組みをとっています(ハローワークが併設されていないところでは、求人情報の検索・閲覧ができても職業紹介はしません)。


独自企画で若者にアピール

 ジョブカフェの強みは、設置地域の需要に合った柔軟なプログラムやサービスの提供に力を入れていることです。他の機関より「地元の若者、学校及び企業のニーズやアイデアを積極的に吸収し、効き目のある就職支援を提供したい」という意欲が高く、積極的です。
 それだけに新しいアイデアや独自の企画を実現しやすく、地域によっては、地元の優良企業の経営者や採用担当者を講師やゲストスピーカーとして学校に紹介したり、ジョブカフェ主催イベントのゲストとして招くところもあります。また、インターンシップやデュアルシステム(教育機関での学習と職場での実習を組み合わせて、職業人を育てる仕組み)のマッチングなども手がけています。
 活用の際には、こうした柔軟性をフルに生かすようにします。一例を挙げると、新卒の応募層をみて「学生に会社や仕事の魅力を伝え切れていない」と感じたら、それを積極的に打ち出したプログラムの提供機会を求めます。運送業なら、「『無事に荷物が届く当たり前』を支える仕組み」といったテーマで出前講演や職場見学会を提案するといった方法です。
 ほかにも、企業の存在そのものを知ってもらうため、新入社員研修を簡易化し、「コミュニケーションや仕事の流れを理解する体験型プログラム」や「職場で必要な視点と能力のワークショップ」を提供し、そこから興味を持ってもらうという手法も考えられます。
 このような企画の提案では、若者の興味を惹きやすい告知や働きかけ、企画への参加から入社応募への興味・関心を育てる方法などについてジョブカフェのスタッフと議論を重ね、ニーズを拾っていくことが大切です。
新卒あるいは若手の人材採用において、何がウィークポイントになっているのかを分析し、それを解決するための方法を共に模索、構築していくことで、応募母集団の形成や入社意欲の喚起につなげていくといいでしょう。
  なお、全国のジョブカフェの設置状況等は、ホームページ「政府広報オンライン」(http://www.gov-online.go.jp/)内の「各都道府県の『若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)』概要」を参照してください。


提供:株式会社TKC(2006年8月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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