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携帯電話のメール機能を使って集客を図るマーケティング手法は、小売店や飲食店を中心に幅広く行われています。ダイレクトメールの“携帯メール版”といったものです。低コストで取り組めるため、小さなお店でも導入しているところが増えています。携帯メール販促の一番のメリットは、ほぼリアルタイムに情報をお客さんに直接伝達できる点にあります。例えば、「今日の特売情報」や「本日入荷の食材を用いた一押しメニュー」などをその日のうちに知らせることができるわけです。
さて、携帯メールを使った販促を成功させるには、次の2点が重要なポイントとなります。
(1)メール会員獲得の工夫
(2)メール作文の工夫
販促用の携帯メールは、メールの受け取りを承諾してくれた会員を対象に配信しますので、新規会員をいかに増やせるかが大事なテーマとなります。そのためには、「割引クーポンがついたお得で楽しいメールを配信しています」といったことを多数のお客さんに知ってもらう必要があります。例えば、手書きPOPで「メール会員募集」と掲示したり、メール会員に受けが良かった配信事例を張り出したり、現在のメール会員数をレジ後でカウントアップする等の工夫が求められます。
また、一度メール会員になってくれたお客さんの離反を防ぐためにも、“読まれるメール”を書くことが大切です。そのための作文のコツとしては、「短い文章」「自分の言葉で楽しい情報を丁寧に書く」「売り込みは極力小さく」「否定的な言葉や悪い事件の批判などは避ける」「読む人が幸せを感じられる内容」といったことがあげられます。とにかく気軽に目を通してもらえる楽しいメールを書くことを心掛けてください。
名古屋でレストランを展開する『パスタビーノ』では、オーナーシェフの中村哲也氏が常連客を増やすために週3回のメール配信をしています。その文章は、《新作アンティパスト♪★ほうれん草と自家製リコッタチーズのパルマ生ハム巻き★チーズと生ハムの相性はバッチリ!ほうれん草の緑を合わせてイタリア国旗の色に仕上げました♪さてこちらの前菜を今日明日タイムサービス夜9時までにご来店のメール会員様に試食サービスです。感想聞かせてね》といった明るいものです。3年前に携帯メールを導入して以来、天候等の条件に左右されず安定した売上を維持しており、来店客の半数以上がメール会員という賑わいです。
携帯メールは「透明な糸」
携帯メールはお店とお客さんとをつなぐ“透明な糸”といえます。結ぶか、切るかはお客さんの主導権。しかし、うまく活用すればお店とお客さんとの距離を縮めてくれる有効なツールと成り得ます。お客さんは一度来店して「また行きたい!」と思っても、時間が過ぎてしまうと忘れてしまいがち。でも携帯メールを定期的に送ることで透明な糸をグイッと引っ張り、思い出してもらうことが可能になります。そのためにもお客さんに嫌がられない程度に、こまめに配信することだけは忘れないでください。
なお、携帯メールの配信は、既存のメールソフトでも行うことができますが、一度に大量のメールを送ることは物理的に困難です。そのためメール販促をサポートするASP業者等のサービスを利用することをお勧めします。月額数千円という料金でサービスを提供しているところもあるので、小規模店でも気軽に利用できます。
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