Q&A経営相談室
【法 改 正】
レジ袋有料化の影響と対策
 
Q:
 スーパーやコンビニで使われるレジ袋の有料化が検討されているそうですが、どのような内容なのでしょうか。また、われわれコンビニ店の経営にはどのような影響があるのでしょうか。(コンビニ経営)
 
<回答者>商業環境研究所所長 入江直之

A:
 「容器リサイクル法」(容リ法)と呼ばれる法律の改正にともなって、レジ袋の有料化が議論されています。
 容リ法は、膨大なゴミを生み出す容器や包装を資源として再利用する目的で平成7年に制定され、ゴミ処理の問題を消費者や事業者にも役割分担させるという方針で進められています。
 平成9年からガラス容器やペットボトル、飲料用の紙パックなどを対象として施行され、平成12年には、その対象が前記以外のプラスチック製および紙製容器に拡大されました。そして制定から10年を経た見直しの時期にきて、ご質問にある「レジ袋の有料化」の問題が今回改正の焦点として浮上しています。
 行政側では環境省と経済産業省がともにレジ袋有料化の方針を打ち出していますが、これにスーパー業界とコンビニ業界が異なった立場でそれぞれ主張を掲げており、現在、大きな議論となっています。スーパー業界では「レジ袋の削減のため、有料化には賛成だが、そのためには法律で制定されることが前提」と主張しているのに対し、コンビニ業界では「衝動買いのお客が大半を占めるコンビニで、買物袋の持参を求めるのは難しい。レジ袋を提供するのはコンビニのサービスの一環として不可欠である」と、有料化反対の方針を打ち出しています。
 そもそも容リ法によるレジ袋の有料化というのは環境対策が中心ですから、有料化とは本来「お客に買物袋を持参してもらう」ことと「レジ袋の売上を資源保護に活用する」ことが目的です。ところがそこにさまざまな背景が絡んでいるため、現状は以下のような問題点が挙げられています。
(1) 専門店や観光地などで使用されるものは含まれるかなど、対象となるレジ袋の範囲があいまい
(2) 法律で規制されなければ、レジ袋無料をうたって集客する店が出てくるため有料化した店が不利
(3) 有料化されると店舗ごとに商品として経理処理する必要があり、個人店などでは事務作業の増加が負担となる
(4) 有料化によって古いレジ袋がマイバッグとして持参されると、店内で万引きを見分けることが難しい
(5) レジ袋の販売価格をどのように決めるか、その売上金を資源保護に活かす仕組みをどうするかなどが不明確

 有料化の対象が独立の個人商店とコンビニなどのチェーン加盟店で異なる可能性もあるなど、先行きは不透明ですが、いずれにしても、この問題は個店のレベルで解決できる問題ではありません。ですから必要なのは、たとえ有料化が実施されても、その影響を最少限に食い止めるように、以下のような準備を心がけておくことでしょう。
(1) まず、品揃えや接客の向上など、店舗としての基本的な実力をつけ、レジ袋の有料無料だけでお客に選別されない店づくりを行う
(2) レジ袋販売に関する事務作業などを効率化するため、在庫の管理や整理整頓を徹底し、作業性の向上を図る
(3) 万引き防止のためには、店内のお客の挙動をチェックする姿勢を持つ

 もちろん、こうしたことはすべてレジ袋有料化以前の基本的な問題であり、常に心がけるべきことです。つまり、当たり前のことをおろそかにしない経営姿勢が一層大事になるのです。
 経済成長期とは違って、今後の日本ではこのような新たな問題が商店経営を直撃する可能性を秘めています。そうしたときに慌てることがないよう、社内環境を整えてリスク管理や情報収集能力、店舗運営力を強化しておくことが大切だと言えるでしょう。

提供:株式会社TKC(2005年10月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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