Q&A経営相談室
【社会責任】
「地域への貢献」を実践するには
 
Q:
 周辺住民との交流を図りながら、地域貢献活動を行いたい。何から手をつけたらよいでしょうか。また注意するべきことはありますか?(機械部品製造)
 
<回答者>東京ボランティア・市民活動センター 河村暁子

A:
 現在、国際社会において、企業の社会的責任(CSR)への関心が高まっており、そのひとつの指標として、企業がコミュニティにどれだけ貢献できるかが問われています。欧米の市民たちは、自分たちのコミュニティに貢献している企業のプロダクトやサービスを積極的に購入しており、企業の存続は、コミュニティにどれだけ支持されているかにかかっているのです。
 さて、では、どのように中小企業がコミュニティに貢献することができるのでしょうか? 本当にコミュニティの人々に喜ばれ、歓迎される活動はどのように始めたらよいのでしょうか?

ステップ1: ニーズ(課題)を調べる
 まず、自分たちのコミュニティの課題を把握することが大切です。自治会などの地元の集まりに出席したり、市民たちが自主的に開催している講座やイベントに参加してみるのもよいでしょう。ボランティア・センターや市民活動支援センターを訪ねてみることもお勧めします。例えば、ゴミのポイ捨て、高齢者や障害のある人へのサポート、小さな子供たちの安全、不登校・引きこもり、子育て支援、ホームレス、国際化への対応、災害対策など、さまざまな問題がコミュニティにはあります。これらの問題をすべて行政だけで対応することは不可能であり、市民や企業が協力して一緒に解決していくことが求められているのです。

ステップ2: 企業のリソースを考える
 次に、こうしたさまざまな課題に対して、自分たちの企業ができることを考えます。まず、寄付をしたり、社内や店頭で募金に協力するといった「資金」の支援があげられるでしょう。あるいは、自社の商品やサービス、会議室やスペースなどの提供といった「物・スペース」の支援も喜ばれます。
 最近では、社員が積極的にコミュニティに出かけていき、ボランティア活動を行うという「人」の支援が注目されています。単純な作業もあれば、社員のもつ経験や知識、技術などを活かして活動することも可能です。社員たちがコミュニティに出かけていくことによって、まさに企業とコミュニティの間に「顔の見える信頼関係」が生まれてくることになるのです。

ステップ3: 企業の特徴を活かす
 このように、企業はその豊かなリソースを活用して、多彩な支援が展開できます。最初は、コミュニティからのリクエストに応えながら、できることを少しずつしていきましょう。そうした実践の中で、よりコミュニティの課題を理解し、人々との協力関係ができあがってくると、その企業としてのオリジナルな地域貢献活動をスタートさせることが可能となります。コミュニティの課題を絞り込み、企業の特徴を活かして、効果的な支援プログラムを創ってください。

 最後に、地域貢献活動は企業だけで行うことも可能ですが、企業として提供できる資源は限られていますので、そのコミュニティの課題について深く理解し、効果的な解決方法をもつ団体と協働(コラボレーション)することをお勧めします。例えば、自治会や住民組織、行政や公共団体、あるいは、NPO、NGOと呼ばれる市民が主体となった民間非営利組織などが考えられます。信頼できるパートナーをさがし、共通の目標を持ちながら、お互いの強みと弱みを理解した上で、役割分担して進めていくことが大切です。パートナー団体を見つけたい場合は、インターネットなどで探し、直接、問い合わせてみてもよいですし、各地のボランティア・センターや市民活動センターなどで紹介してもらうこともできます。詳しくはhttp://www.tvac.or.jpまで。

提供:株式会社TKC(2005年9月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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