Q&A経営相談室
【社内管理】
社内資料などを機能的に収納するコツは
 
Q:
 いつも社内に整理整頓を指示しているのですが、一向に書類が減りません。必要な書類を探すのも一苦労という状態です。資料を機能的に収納するコツを教えてください。(建設業)
 
<回答者>ファイリング技術研究所 代表取締役 中西勝彦

A:
 書類の整理で困っている会社は意外に多いものです。その原因は大きく2つあり、それは「躾」「仕組み」といえます。社員が書類を整理する気にならないとうまくいきません。また、社員にやる気があっても会社にその仕組みができていなければきれいにはならないでしょう。書類整理のコツをいくつか紹介します。

管理と活用、どちらを優先?

 管理と活用は正反対です。書類をしっかり管理したければ原本を1冊だけ保管すればしやすくなります。しかし1冊しかないと一定規模以上の組織では使い勝手が悪い、つまり活用しにくいものです。管理と活用とは、この共有化の問題です。通常は10人程度の組織ごとに1冊ずつ保管すればよいとされています。
  また、自分の書類は自分ひとりのものと思っている人は、机の周りに書類をたくさん抱えています。こうした社員には、書類は会社の共有財産だと思わせないといけません。しかし現在仕掛かり中の書類まで、そのつどキャビネットに取りに行ったのでは仕事が遅れます。書類ができ上がったり決裁が下りたら共有化する。それまでは机の引出しに収容し、帰宅時にはキャビネットに入れて帰る、というのがよいでしょう。

書類の保管価値の判断

 ファイリングシステムは別名「捨てリングシステム」といわれます。そのくらい要らない書類が多いということです。書類を保管する価値は次のような基準で判断すればよいでしょう。

1.社内文書と社外文書
 社内文書とは自社内だけに関係する書類です。会社の計画書や実績、社内会議資料や議事録、これらの保管は社内で自由に決めてよい書類です。
 社内文書のひとつに稟議書や決裁書があります。実はこの書類が勘違いされやすい。偉い人の判子がたくさん押してあるので大事だと思いがちですが、これも単なる社内文書です。社内で扱いを決めてよい書類です。
 社外文書とは社外の得意先などから来た書類や社外に発信したような書類です。これは得意先などとの権利や義務が関係することが多く、社内で自由に決められない書類です。

2.原本とコピー
 原本とは作成元の書類で、組織的に保管期間を決める必要があります。コピーとは原本をコピーして他部署に配布した書類で、これは自分たちの自由な判断で廃棄してよい書類です。

3.時間の経過
 書類は作成した直後はよく見ますが、半年後は作成時の10%、1年後には1%しか見ないといいます。
 そこで年度ごとに毎年作成する書類は、作成した年度末より1年経過したものから、原本は書類倉庫に置き換え、コピーは廃棄するのが普通です。
 またマニュアルのように毎年定期的に作成せず、必要な期間継続して保管する書類なら、新しいマニュアルができたら差換えて捨てるなど、内容的に陳腐化したら捨てるという扱いにします。これらは書類倉庫には回しません。

書類の電子化も

 本年4月から、e―文書法が施行され、民間企業の税務関係書類はスキャナで読み取って、電子署名やタイムスタンプといった手続をすれば、紙の書類を廃棄してよいことになりました。
 また税務関係以外の法に規制されない書類も、当然電子化が認められています。2年以上継続して保管する書類は保管コストよりも電子化コストのほうが安いという試算がありますので、検討されてみてはいかがでしょう。

提供:株式会社TKC(2005年7月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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