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いつの時代も、店舗の業績を伸ばすには、新しいお客を集客し、固定客化することが重要です。飲食店で、初めて来店するお客(いわゆる一見客)をリピーターに変えるためには、商品力だけではなく、やはり接客の技術と努力が必要になるでしょう。
そこで、一見客を確実にリピーターに変える「接客の達人」になるためには小手先のテクニックではなく、次の6つを身につけることが重要です。
(1)お客の顔と名前を覚える
何よりもまず、お客の顔と名前を覚えることが第一です。名前は耳で聞いただけでは忘れやすいので、その場でメモを取るクセをつけましょう。ビジネス客が多ければ名刺をいただく方法もあります。お客の顔が記憶に残らないのは一人ひとりのお客と真剣に接していないからです。接客の達人は一度見たお客の顔はめったに忘れません。
(2)会話のチャンスを作る
こちらが顔を覚えても、会話のきっかけがなければ、固定客化につながる接客は望めません。例えウロ覚えであっても、一度でも顔を見た記憶があれば、「毎度、ありがとうございます」と声を掛けましょう。もし「初めてですよ」と言い返されたら、「しめた!会話ができる」と思うか、それとも「しまった!間違えた」と思うかで、あなたの接客達人度がわかります。
(3)相手の心理を読み取る
接客において何よりも大切なのはタイミングです。お客のちょっとした言葉や動作から、その心理を読み取って、適切なタイミングでサービスを行ったり、会話を切り出すことができるように、常にアンテナを張り巡らせておきましょう。食器を下げるタイミングひとつで、お客と会話する機会は作れます。そのためには、相手に不快感を与えずに、お客を観察するテクニックを身につけなければなりません。
(4)お客との距離感を常に意識する
良い接客というと、ひたすら「へりくだること」だと思っている人が多いようです。また、丁寧な接客とは「かしこまること」だと勘違いしている人もいます。あなたがお客の立場だとして、へりくだり、かしこまってばかりの従業員と親密になれるでしょうか。
大事なのはお客との「距離感」を常に意識することです。距離を「常に一定に保つ」のではありません。近づいたり離れたり、その場の状況に応じて変化させられることが重要なのです。
(5)自分のキャラクターを知る
明るくて外向的な人だけが接客に向いているわけではありません。例えばおとなしくて落ち着いた人でも、自分のキャラクターを上手く活かせば接客の達人になることは十分に可能です。
接客上手になる基本は、自分の性格をムリに変えようとしないことです。もちろん、お客に不快感を与えてはいけませんが、自分自身を偽ってムリしても、良い接客は望めません。
(6)店のルールの番人になる
店側がお客に対して失礼がなくても、特定のお客が別なお客を不愉快にする場合があります。接客の達人は、店内の雰囲気を上手にコントロールできなければなりません。そのために、時には店の雰囲気を壊すお客に対してイエローカードを提示しなければならないこともあるでしょう。必要に応じて、そうした毅然とした態度で臨むことも、接客には重要な要素です。
基本的に、接客が上手な人は人間に対する好き嫌いが少ない人です。経営者のあなたが、まず人間を好きになること。あなたがお客を好きにならなければ、お客があなたの店を好きになってくれるはずはないのです。
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