Q&A経営相談室
【販売戦略】
通販業者を販路にする際の5つの留意点
 
Q:
 自社独自の技術を用いて家庭用のアイデア製品を開発しました。これを通信販売業者を通じて売り出したいと考えているのですが、どのような手続きが必要でしょうか。(金属プレス加工業)
 
<回答者> 週刊『通販新聞』編集長 熊谷岳雄

A:
 通販事業者に商品を売り込む手続きは、通常の小売業に売り込むときと大きな違いはありません。通販各社に連絡すると担当バイヤーを紹介されますから、担当バイヤーとアポイントを取って商談を進めるという流れです。
 ただ、通販は販売形態が特殊なうえ企業によって仕入れなどの条件が異なります。この点は商談の際、事前に確認しておくことが必要です。では、具体的にどのような留意点が必要かをまとめてみましょう。

1.原価設定は上代の50%が目安

  まずは原価率です。通販はカタログなどの制作にかかる広告宣伝費、商品を届ける配送費、注文を受ける際の通信費など様々なコストがかかります。一般的な通販企業の場合、原価率は上代の50%程度に設定しています。もちろんロット数や販売形態によって違いはありますが、カタログ通販の場合は通常50%を目安にしておくべきでしょう。

2.広告費負担の有無を確認する

  業態や企業によっては広告費の負担を求められる場合があります。現在は少ないですが、以前はカタログに商品を載せる名目で掲載料を要求するケースや、テレビショッピングにおいては協賛金などの名目で広告費の負担を求めるケースがありました。通販は実際に商品を販売してみないと、売れるのか売れないのか分かりません。こうした場合、結果にかかわらず広告費を徴収されるので、事前の確認が必要です。

3.第三者機関による裏付調査の実施

  プレゼンテーションの際に注意すべきなのが、第三者機関による調査結果の有無です。昨今、消費者保護を目的として広告表示に関する規制が強化されています。言葉と写真で商品を販売する通販にとって、広告上の表現は売れ行きに大きな影響を与えます。当然、当該商品が持つ特徴的な部分を広告上で強調するわけですが、強調したい部分における数値的な裏付けがないと誇大広告に該当しかねないわけで、通販企業は裏付けとなる検査結果を要求するケースが増えています。例えば、効能・効果商品、家庭用品なら耐荷重や強度、電気製品では省エネに関する部分などです。逆に言えば、第三者機関による検査結果を用意しておけば、採用される可能性は高まるでしょう。

4.納入、返品の条件に注意する

  販売後のフォロー態勢についても確認すべき点があります。追加発注に対する商品供給や返品商品の扱いなどです。通販の場合、注文がきても商品が欠品していて販売できないとなると、お客様から信頼を失うことになります。それだけに、納期や数量が守れない場合、ペナルティーを要求してきます。販売後における数量の打ち合わせは、こまめに行うべきでしょう。また、返品商品の扱いは、再生や処理方法が企業によって異なり、商品によっては商品供給業者側からお客様に発送させるケースがあります。返品、小口発送は他の小売りとは違う特殊な部分ですので、十分確認しておく必要があります。

5.通販業者の特徴を踏まえ選定する

  最後はどこの会社と取引すべきかです。通販企業はターゲットとしている顧客層や年齢層、得意としている商品ジャンルなど、それぞれ特徴を持っています。開発した商品がどの通販会社に適しているのかは、各社のカタログを取り寄せ、実際に比較してみるとおおよその見当はつきます。また、自社の取引先や知り合いの中で、すでに通販企業と取引実績がある企業があれば、そこから意見を聞くことも参考になるかと思います。

提供:株式会社TKC(2004年8月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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