Q&A経営相談室
【マーケティング】
見本市・展示会の効果的活用法は…
 
Q:
 見本市や展示会に参加して新規顧客を獲得したいと考えていますが、留意点を教えてください。(機械部品製造)
 
<回答者> イオンド大学教授 経営学博士 中小企業診断士  小濱岱治

A:
 見本市や展示会に参加して顧客開拓をする場合には、まず第一にその展示会や見本市が自社の活動内容に適応しているかどうかを募集要項などによってよくチェックしてください。いくら出店費用が安くても、自社の活動に不適応の場合には顧客開拓の効率は上がりません。また、会場の平面図をチェックして、展示場所の位置や来場者の主たる動線を確認することも大切です。
 第二に、自社のどのような活動を来場者に訴求したいのかを明確にしたテーマを設定することです。たとえば、自社製品の特有な性能をアピールしたいのか、独自の技術レベルを顧客に訴求したいのか、あるいはサービス内容や取引の有利さなどを顧客に知ってもらいたいのか…などのテーマを明確にして、展示ブースの陳列方法や飾り付けをしっかりと決めて参加する心構えが必要です。

顧客の注意を惹きつける

 このような参加についての明確な方針を決めた上で、具体的には次の4つのことを意識した展示場の演出を行うことです。一般に展示会や見本市会場は、不特定多数の方々が来場しますから、顧客の注意を惹きつけて展示コーナーを見てもらう努力が必要です。
(1)自社の展示コーナーを、人目に付きやすく興味が持たれるような演出をする。
 たとえば少し派手な色合いの飾り付け、明るく変化のある照明、TVやスライドによる企業PR装置、工作機械の実演や部品組立の実演などによって、動いている顧客の足を止めさせ、活動内容に興味を持たせる仕掛けなどです。
(2)顧客に自社の事業活動の特徴をイメージ付ける。
 たとえば、代表製品の特長や技術の特異性、ISO9000や14000などの認証、グッドデザイン賞やその他の賞状なども、それとなく表示して顧客に製品や技術の信用性をアピールすることです。
(3)独自のサービスシステムを顧客に知らせる。
 たとえば、機械部品の企画や設計アドバイス、取引価格や納期やアフターフォローのサービスシステム、技術指導や部品組立の支援活動などの特徴的サービスがあれば、これを明快にパネルを使って表示することです。また、顧客の要望に沿った部品の製造や独自の材料処理などのコンサルティング活動をアピールするのも一つの方法です。
(4)自社情報の提供と顧客コミュニケーションの確保を目指す。
 展示会場は自社情報の提供場所であり、宣伝の場所でもあります。したがって自社のカタログやパンフレットの配布も十分に行う必要がありますが、ただ単に配布しても何の効果も上がりません。たとえば、カタログやパンフレットは簡単なものにして、その代わり来場者に簡単なアンケートを行って、回答者には応分の粗品を配布する手法が効果的でしょう。アンケートのなかに、相手の企業名や住所、担当者名や製品名、あるいは電話、ファックス番号や電子メールアドレスなどの必要情報を採取できるようにすることで、後日の顧客開拓につながる活動ができるようになります。 もちろん、展示場には名刺受け箱や自社の企業の名刺が自由に取れるような箱を設置して、混雑している会場のなかでも合理的に顧客との接点を確保することも大切です。
 顧客開拓は会場内で期日中に実現するのではなく、会期後に本当の営業アプローチができるようにすることが、もっとも適切な顧客開拓の方法と認識してください。

提供:株式会社TKC(2003年9月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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