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最近、こうした悩みを持つ経営者が増えてきているようです。誰しも新人時代には「身だしなみ」や「言葉づかい」「接客」「電話応対」などのビジネスマナーを一通り学んだはずです。が、いつのまにかマナーの大切さを忘れてしまい、ないがしろにされているのが実情です。若い社員ならまだ叱責することもできますが、幹部社員になると注意をすること自体はばかるところがあります。
そこで、幹部社員を一から鍛え直すためのビジネスマナー、3つのポイントを紹介したいと思います。
1.正しい挨拶の仕方
とかく仕事や社内のルールに慣れてくると、いい加減になりやすいのが「挨拶」です。このため、まず出社したときは「おはようございます」と、上司(経営者)が率先していうようにしてください。《隗より始めよ》です。
次に、午後に取引先等が来た場合は「こんにちは」ではなく、「いらっしゃいませ(お待ちしておりました)」といいます。来客にいきなり「こんにちは」と挨拶するのはなれなれしい印象を与えます。また、上司が外出先から戻ったときには「お疲れ様です」といいます。「ご苦労様です」は、目上から目下へのねぎらいの言葉なので注意を要します。
2.役職者に対する呼び方
よく商談や打ち合わせをしているときに、「ぼく」という人がいますけど、これは間違いです。上司や他社の人には、「私」を使います。たとえお客様や上司が「ぼく」といっても、部下はきちんと「私」を使うべきです。
役職者に対しては、苗字のあとに役職名をつけます。部長なら「A部長」と呼びます。この場合は役職に敬称が含まれているので「A部長様」とする必要はありません。これは社内、社外を問わず同じです。しかし、自分の上司を社外で呼ぶときは「弊社のA」といいます。「うちのA部長」のように敬称を使ってはいけません。たとえ社長でも社外では呼び捨てにします。
最近では、社内の人を役職に関係なく「○○さん」と呼ぶ会社も増えてきています。従って、役職者に対する呼び方は、その会社の文化やルールに基づいて行ってください。
3.失敗しない紹介の仕方
上司や部下を取引先に紹介する場合、自社の人間は身内なので年齢や役職が先方より上であっても「下」と考え、常に先に紹介します。「こちらが弊社部長のAです」「こちら営業のBです」と、呼び捨てで紹介します。その後、先方を「いつもお世話になっているC社のD様です」と、自社の人間に紹介するのが正しいやり方です。
また、同行者も自分も、先方と初対面の場合は約束を取りつけた人が先に相手と名刺を交換し、次に同行者を紹介します。注意したいのは1人を多人数に紹介する場合です。その際、年齢や役職にかかわらず、1人の方を先に紹介します。その後、多人数の方を年齢、役職の高い順から紹介します。
相手を敬う気持ちが基本
マナーとは心配り、つまり相手への「不」の解消といわれます。ビジネス関係、人間関係の良し悪しは、相手へのいとしさや慈しみを持つことです。
毎日顔をあわせている上司や同僚、部下であろうと、初めて会う取引先の人であろうと、常に相手を敬う気持ちで接することが「社会人」としてのエチケットです。他人に不快感をまき散らしている人はどんなに仕事ができ優秀な人でも、ビジネスマンとしてのイ・ロ・ハをしっかり身につけなければなりません。
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