Q&A経営相談室
【販売促進】
DMのレスポンスを10倍向上させる5つのコツ
 
Q:
 新聞折り込みチラシを活用していましたが、あまり効果がないので新たにダイレクトメール(DM)での販促を考えています。効果を挙げるコツや注意点を教えてください。(自動車整備業)
 
<回答者> DMコンサルタント 有田 昇

A:
 DMにはレスポンス率を上げるための体系化されたノウハウがあります。そのほとんどは、DMの先進国といわれるアメリカで開発されたものですが、残念なことに日本ではまだあまり知られていません。私がこれまで30年以上にわたって携わってきたDMコンサルタントの経験から、こうすれば必ずレスポンス率がアップするという方法をいくつかご紹介しましょう。

1.外観を一工夫し開封率を伸ばす
 DMは手に取った瞬間「おやっ」と思ってもらえたら半分成功です。最初にお客さまに注目してもらうことが大切なのです。そのために、あらかじめ封筒の中に立体的な小物を入れておく(ドアオープナー)、気を引く1行か2行のフレーズを封筒上に印刷しておく(ティーザー)、DMらしくない外観にする(オフィシャル感)などの工夫をします。
 これが、ゴミ箱に直行しないDM作りの第一歩となります。

2.リストを徹底的に絞り込む
 DMはリストに始まりリストに終わると言われます。それほどに送付(見込客)リストは重要です。つまり誰にDMを送るかという問題です。DMのムダを省き、効率を高める最も効果的な方法の1つが、リストの絞り込みなのです。
 具体的には、DMを送りたいターゲットの属性に沿って、リストを年齢・性別・職業・趣味・年収・購買履歴などの項目別に絞り込み作業を行います。これをDM用語でセグメンテーションと言っています。

パーソナルに訴えて効果3倍

3.特別なオファーをつける
 オファーを直訳すると提供という意味になりますが、DMでは特典と言った方がわかりやすいかもしれません。無料でついてくる景品とか、抽選で当たる懸賞などの特典のことです。ナンバリング(特典番号)やデッドライン(締切日)なども重要な要素になってきます。
 これまでの私の経験では、魅力的なオファーをつけたDMとつけないDMでは、レスポンス率に雲泥の差が出ています。気は心と言います。どんなにささやかなものでも「おみやげ」をもらうと悪い気はしないのが人間心理です。これをDMに活かさない手はありません。

4.ベネフィットを強調する
 DMの中で何を訴求すべきか。それは「ベネフィット」の一語に尽きます。つまり消費者利益です。ズバリ「相手にとって得になること」です。DMの中でご案内する商品なりサービスなりが、どんな特長をもっていて、どんな利益をお客さまにもたらすのかを強く具体的に訴求するのです。
 ベネフィットをうまく表現することで、レスポンス率を大幅にアップさせることができます。

5.パーソナルに呼びかける
 一般広告と違って、DMではお客さまにパーソナルに訴えかけることができます。その利点を最大限に活かしたのがパーソナリゼーション(個人化)という方法です。お客さまの名前や購買履歴をレターや申込書の中に打ち込んでおくのです。手書きでもかまいません。ある会社では、パーソナライズド・レターを入れることによって、レスポンス率がそれまでの3倍になった事例がありました。
 このように、DMの良し悪しはレスポンス率で決まります。ところが現実には、このレスポンス率を高めるノウハウが少しも使われていない「悪いDM」ばかりが目につきます。基本をきちっと押えた「良いDM」を作っていけば、レスポンス率を10倍にも20倍にも向上させることも不可能ではありません。
 なお、以上紹介した方法のほかにも、発送スケジュールの立案や個人情報保護への目配りなどいくつか注意点がありますので、実施する際には専門家に相談されることをお勧めします。

提供:株式会社TKC(2002年10月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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