Q&A経営相談室
【事業開拓】
フランチャイズチェーンの加盟店になる際の留意点は…
 
Q:
 フランチャイズ(FC)ビジネスに興味があります。加盟店になる際の留意点を教えてください。 (小売業)
 
<回答者> 日本フランチャイズ総合研究所所長 内川昭比古

A:
 FCの加盟店になるためには、まずFCビジネスの意味を知らなければなりません。加盟さえすれば、あとはFC本部が面倒を見てくれ成功間違いなし…などと考えるのは誤りです。確かに、フランチャイザーは本部のブランドやシステムを活用し、指導を行いますが、本部と加盟店はあくまで別個の経営体です。経営については加盟店の自己責任で行わなければなりません。つまり、加盟店の成否は、経営者の努力にかかっているということです。
 だからといって、どこのチェーンに加盟をしても同じというわけではありません。大事なのは、「優れた本部」を選ぶこと。現在存在するFC本部は1000とも2000ともいわれており、どこを選んでよいか分からず、結果的に失敗するケースがかなりあります。そこでまず、FCビジネスの唯一の公益法人である日本フランチャイズチェーン協会(03-5777-8710)発行の『フランチャイズ・ガイド』を購入してください。同書には「フランチャイズとは」「協会の役割」「加盟にあたっての注意事項」「協会の倫理綱領」「加盟へのステップ」「会員と登録者の概要」などが詳しく説明されています。 

好きこそ物の上手なれ…

 本部選択の際の最も重要な判断材料は「どのビジネスなら自分が好きになれるか」です。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、FCビジネスも同じです。そして、好きになれそうなビジネス・本部が決まれば、その対象店舗を数店訪問して、買い物をしたり試食をしてみることです。その上で、自分が胸を張ってこのビジネスを行えるかどうか自問自答してみてください。
 次に、加盟したいと考える本部の「FC案内」をもらって熟読してください。そして、その本部を訪問し会社の考え方(とくにFCビジネスに対する理念)や加盟店への指導体制・バックアップシステムを聞いてください。担当者だけでなく、トップの方に会うと、会社の考え方がさらに深く理解できます。
 こうしてある程度候補が絞られたら、最後の段階として、前述の日本FC協会の情報公開制度を利用してください。同制度は「中小小売商業振興法」で定められているFCビジネスの情報開示責任に準拠し、協会が調査した情報が満載されています。サービス業は法律の対象外ですが、この制度ではサービス業も含めていますので、その内容は加盟希望者にとって質・量ともに十分に見るべき価値のあるものだと思います。
 さて、FC加盟を希望する人が陥りがちなのは、加盟へのプロセスのなかで熱くなってしまい、周りが見えなくなることです。変なたとえですが、伴侶を選ぶ結婚は失敗してもやり直しがききますが、本部を選ぶFCビジネスは失敗すると元も子もなくなります。慎重の上にも慎重に進めてください。
 とくに開業資金は十分用意してください。世間では所要資金の半分もあれば可能…といわれていますが、できれば全額、最低でも75%くらいは用意すべきです。そうしないと、開業後の資金繰りに窮してしまい、満足なビジネスが行えない恐れが出てきます。開業資金といっても、設備資金、加盟金、保証金、商品や販売促進資材購入費、開店前の教育訓練に必要な費用や人件費、運営費、つり銭資金など多岐にわたります。これらすべてをあらかじめ見込み、資金計画を立ててください。
 また、細かなことですが、FCビジネスの実現にあたっては、既婚者の場合は夫婦で協力して行うことをお薦めします。1人よりも2人の方が視野が広がり、正しい判断が行える可能性が高いからです。
 それから資金に多少でも余裕があれば、当社のようなコンサルタントの力を借りることも考えてみてください。

提供:株式会社TKC(2002年10月)
 
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。
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