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ネットを利用し、企業に対する批判、あるいは誹謗中傷することが多くなってきました。特に、掲示板というシステムは誰でも自由に利用できる上、書いた人の本名が明らかにならないという特徴をもっているので、いわば書き放題となっているのが実情です。
こうしたことから、企業の皆さんの間に様々な不安や動揺が起きているようです。ここでは、そうしたネット上の批判と、批判とは異なり違法行為にあたる誹謗中傷への対策を区別して考えてみましょう。
まず、批評、批判ですが、これは正面から受けなければなりません。ネットの良いところは、誰でも自由に発言することができるという点です。従って、これまで消費者に対して圧倒的に優位に立っており、消費者から批判されたり、意見を質されたりした経験のない企業にとっては意外な出来事のはずです。今は、マスコミよりもネットのほうが的確で、かつ厳しい批判を行うとも言われています。こうした批判は、言論の自由としても守られるので、耳障りであっても聞くしかありません。そして改善すべきは改善し、反論すべきは反論することが必要となります。自らのホームページなどで、自社の見解を明確にし、事実を淡々と示してゆくといった姿勢が必要です。ことさらに隠し、逃げる行為はネットワークでは歓迎されません。
次に、違法にもなる誹謗中傷に対してですが、こうした違法行為に対しては毅然たる態度が求められます。相手に屈せず、違法な行為に挑発されず、違法性を淡々と指摘し、警察の処分にゆだねる、ということが必要です。従業員への個人攻撃や、いわれのない差別発言、事実に反する犯罪者呼ばわりなどに対しては、専門家と協議して迅速に、的確に対処しなければなりません。最近では、プロの総会屋などが参加するケースもあるようです。できるだけ早く専門家の指示を仰ぐのが良いでしょう。
影響力を診断してもらう
ネットの上で展開される批判にせよ、誹謗中傷にせよ、そうした行為をどのように評価するかは難しいところがあります。検索エンジンやそうした書き込みを検索する特別なソフトウエアも開発されています。こうしたソフトで、ホームページや掲示板だけでなくチャット(オンラインで行える世間話)等に関しても調査できるといいます。しかし、目に見えるものが全て対処を必要とするかどうかは問題です。誰も見ないホームページや、参加者が身内の掲示板などは問題するほどでもありません。反対に小さな掲示板であっても、ヤフーなどの大型の掲示板サイトや検索エンジンサイトとリンクしあったりすると突然多くの人々の目に触れるようになったりもします。従って、どこに書かかれているか、どのような環境にあるかなどといった調査、判断も必要になります。また、そうしたサイトの与える影響を測るのも困難です。裁判を起こそうとしても、被害が特定できないなど、難しい面があります。そのページを見たから契約をしなかったとか、掲示板の記事を読んだから他のメーカーにした、などといった具体的な資料があればいいのですがそうしたことはまず見つかりません。従って、こうした書き込みの持つ危険性、被害、影響力といったものは現時点では正確に測ることが出来ません。本人にとっては一大事であるが、他の人にとっては些細なこととして無視されるということも多々あります。そして、些細なことのはずが、本人が被害だと騒ぐから大きな話になってしまうという危険性もあります。
従って、こうしたネットでの様々な動きや表現の影響力の判断などは、専門家に相談して、客観的に診断してもらうのが一番良いということになります。安易な判断は危険を増大する可能性があり、反対に過度の恐怖心や過敏反応は返って総会屋を助長することにもなります。常に冷静に、客観的に評価してから、的確に対処する必要があります。
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