A:
現在、日本に就労する外国人は約 67万人。そのなかで、オーバーステイの不法就労者だけで
25万人を超えると見られています。不法就労者を雇い入れた場合、あるいは不法就労となる外国人を斡旋するなど、不法就労を助長した場合「3年以下の懲役または200万円以下の罰金」に処せられます。外国人を雇い入れる場合には、就労の可否をきちんと確認することが必要です。
在留期間と在留資格に注意
就業を希望する外国人の方はハローワークでも紹介していますが、民間の仲介業者を利用するなら、厚生労働大臣の許可を受けた業者であるかどうかを確認して下さい。外国人の違法な斡旋を行う仲介業者が横行しており、トラブルの要因となっているからです。
面接の段階でまず雇い主がすべきことは、所持している「外国人登録証明書」あるいはパスポートに記載されている「在留期間」と「在留資格」を必ず確認することです。面接の日が在留期間を超えていれば不法在留者ですから、雇うことはできません。そして「在留資格」。これはビザと混同されている方も多いようですので少し説明が必要でしょう。
まず、就労のための在留資格が与えられるのは専門的・技術的分野の14資格に限られています。ご質問をいただいた方の業界でいえば、エンジニアや外国料理のコックなどとしての活動は認められますが、建設現場作業やウエイターは認められません。雇い主としては、雇い入れる外国人に任せる仕事が、在留資格に定める活動に合致しているかを確認することが義務となるわけです。
しかし、就労活動に制限がない、つまり単純労働にも就ける在留資格を持つ方もおられます。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4種類です。たとえば、「日本人の配偶者等」または「定住者」として在留する日系二世、三世の方は、就労活動に制限はありません。
それから大学などの留学生、日本語学校などの就学生は、許可を受ければその範囲で就労することができます。原則として留学生の場合、1週28時間。就学生は1日4時間が上限となります。許可の手続きとして、地方入国管理局で「資格外活動許可証」を、留学生・就学生が取得する必要があります。
意思の疎通でトラブルを避ける
法制面以外でも外国人雇用の際に留意すべき点は多々あります。たとえば時給、日給、月給などの賃金の形態や仕事の内容を徹底して説明、理解を得ることは重要なポイントでしょう。日本語に堪能ではない外国人に対して、簡単な口約束で済ましてしまうと誤解を招き、後々の思わぬトラブルにつながる可能性があります。ちなみに、労働基準法第3は、賃金を含めた労働条件面での国籍による差別を禁じています。
このようなトラブルを防ぐには、主要な労働条件を明記した書面「労働条件通知書」を交付しておくのが確実です。必要であれば、各地の労働基準監督署には数ヵ国語によるモデルが用意してありますので、活用されるとよいでしょう。
さらに、当該外国人の母国語で書かれた職務マニュアルを作ることをおすすめします。とくに危険を伴う製造ラインなどでは、よく分からないままに機械を操作して大けがをするということにもなりかねません。マニュアルだけでなく、図表などを絵にして分かりやすく職場に掲示するなどの工夫も必要でしょう。
外国人雇用に関してのより詳しい情報は、最寄りのハローワークにお尋ね下さい。
(インタビュー・構成/「戦略経営者」・高根文隆)
|