■創業計画作成のすすめ

■経営計画を外部に公表する時代

 銀行や信用金庫、信用組合などから融資を受ける際には、「創業計画」の提出を求められます。たとえ事業が軌道に乗るまでの期間は赤字であっても、金融機関に「創業計画」を提出することによって融資を受けられるケースもあります。

これからは経営計画を外部に公表する時代

 決算書と違って、経営計画書はこれまでは主に企業内部のものとして扱われてきましたが、これからは金融機関や投資家に対して自らのビジョンを明確に事前に開示して、協力を取りつけることが大切になっています。

■『金融検査マニュアル』(注1)の創業時の赤字の扱いについて
 創業した場合には、その事業が軌道に乗るまでの一定期間は入るよりも出る方が多く、赤字になる場合が考えられます。創業に際してあらかじめ事業計画を作成し、開示している場合で、実際の売上高及び当期利益が創業計画と比べて大幅な乖離がない場合の赤字は、いわゆる「創業赤字」とみなし、金融機関においては原則として「正常先」(注2)として扱われます。

「創業赤字」とは次の場合を言います。

(1) 当初の事業計画が業種、事業規模から見て合理的であり、かつ実現可能性が高く、おおむね5年以内には黒字化する内容であること
(2) 実際の売上高と当期利益が、創業計画に比しておおむね7割以上確保されていること

(注1)『金融検査マニュアル』とは?
 金融監督庁(現・金融庁)に設置された「金融検査マニュアル検討会」で検討され、平成11年4月にその「最終取りまとめ」が公表された、検査官が金融機関を検査する際に用いる手引書のことです。(最終改正・平成14年6月)
 監督当局が『金融検査マニュアル』を通して金融機関に求めていることは主に次の2点です。

(1) 法令等を遵守する体制(コンプライアンス)、またそこから導き出される社会的責任と公共的使命を発揮すること
(2) 自己責任のもと金融機関に内在する各種リスクに対する管理体制を整備すること

(注2)「正常先」とは?
 業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者のことをいいます。

 それでは、計画の必要性を実際の会話を通して見てみましょう。

1.創業計画書を作成していないケ−ス

融資担当者:

客数や客単価、1か月あたりの平均売上はどのように計画されていますか?

創 業 者:

(客数?客単価?…) 客層は絞らず地域全ての人を対象にサ−ビスいたします。1日何人来店するかはやってみないとわかりませんが、○人以上は来店して欲しいですね。まあ、1か月○○万円ぐらい売上をあげたいです。
融資担当者: いかほどのご融資額をご希望ですか?
創 業 者: あれこれ○○万円の借り入れを考えています。
融資担当者: 毎月の固定費はいくらになりますか?
創 業 者: …まだくわしく検討していないのでわかりませんが、○○万円ぐらいでしょうか。
融資担当者: 1か月いくら売り上げたら利益は確保できますか?
創 業 者: まだ、事業を始めていないので何とも言えません。
コメント: これでは、海図も羅針盤も持たずに大海原に出るようなもの。相談できる人を持ち、しっかりとした経営理念をもち、まず自分の夢や思いを文章にしてみましょう。

2.創業計画書を作成(立案)しているケ−ス

融資担当者:

客数や客単価、1か月あたりの平均売上はどのように計画していますか?

創 業 者:

1日の平均客数は○人、平均客単価は○千円、1か月の営業日数○日で1か月の平均売上高を○○万円を計画しています。
融資担当者: いかほどのご融資額をご希望ですか?
創 業 者: 創業に伴う設備投資は、この創業計画書のとおりです。建物内装費、備品等を合計すると○○万円ほど必要です。そのうち自己資金で○○万円をまかない残る資金と当座の運転資金として○○万円の借り入れを考えています。
融資担当者: 毎月の固定費はいくらになりますか?
創 業 者: この計画書通り、人件費・諸経費等を合計すると月○○万円必要です。
融資担当者: 1か月いくら売上たら利益は確保できますか?
創 業 者: とりあえず、5か年の事業計画を立案しました。1か月の必要売上高は○○万円となり、1年後には黒字に転換する予定です。
コメント: とかく計画書と言われるものは、金融機関に提出するために作成されがちですが、それは大きな間違いです。自分自身のために作成してこそ、相手に対しても説得力があり、成功する大きな要素となります。