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■法の求める「公正さ」のレベルが格段に高くなった
――本年5月施行の新会社法は、中小企業の経営に大きな影響を与えることが予想されます。そこで、TKC全国会でこの問題に取り組んでいる方々に集まっていただきました。
まずは、飯塚毅初代会長の長年の念願であった帳簿の記帳条件が明確化された経緯や、商法改正、新会社法の意義について、坂本先生から順に語っていただきたいと思います。
坂本 飯塚先生の年来のご主張であった帳簿の記帳条件「適時性」「正確性」が商法本法と会社法に入ったのは、画期的な出来事です。
今回の改正の背景は2つあります。1つは、飯塚先生が国会で何度も意見陳述してこられたおかげで、全国会の主張が国会議員の先生方に浸透していたということです。しかし従来、商工業界をはじめ、記帳条件の強化は、中小企業いじめと言われてきました。官庁も、記帳義務の強化には消極的な立場でしたが、帳簿を記帳条件に従ってしっかり作成することで、帳簿の証拠力が高まり、訴訟社会においても、自社の正当性を自らで守るという流れになってきました。商法総則の、裁判で商業帳簿の提出を求めることができるとの条項が再認識されて、記帳の意義が明確化してきたのです。
2つ目は、信頼性のある決算書を作成するためにも、特に中小企業は入り口である記帳を明確にすべきだという飯塚先生、武田隆二先生のご主張に、決算書の信頼性を高めたいという社会の要請が加わったわけです。
なお、飯塚先生は「法に社会形成力あり」と言われましたが、事業を営む個人とすべての法人に適用されるこの記帳条件が、将来にわたって相当な影響力を持ち、日本の経済力の基盤強化に役立つのではないかと思います。
そして、今回の会社法の創設は、特に株式公開会社や大会社が、国際的な潮流を踏まえて、それに対応するという側面があります。
また、今回の改正で、中小企業にも合った機関設計をはじめ、仕組みができたわけです。したがって、中小企業経営者はこれに積極的に対応していく必要があると思います。
川崎 当面対応しなければいけないのは、後で触れる機関設計の問題だと思います。われわれが提案し、関与先と相談しながら、それぞれの企業に合った組み替えが必要です。
最近の『日本経済新聞』の「法化社会の到来」という特集記事の中で、法が求める「公正さ」のレベルが格段に上がってきているという主旨のことが書かれていました。会社法の施行も自由度が増した分、コンプライアンス(法令遵守)重視の流れを会計事務所も関与先も、今以上にそれぞれが意識する必要があるのではないでしょうか。
馬服 先ほど坂本先生が言われた記帳条件の明確化は、TKC全国会の活動基盤である巡回監査の徹底断行により真正な事実に基づいて正確な帳簿と決算書を作成するという考え方が具体的に法制化されたものであると受け止めています。これは、関与先に対し、記帳指導がこれまで以上にやりやすくなるということであり、現場で指導に当たる職員にとっては非常に大きな意味があると思います。
また、計算書類の公告に関して、従来、中小規模の会社は閉鎖的、消極的であっても、ある程度許されてきましたが、今回の改正で、これらの会社も、金融機関や取引先から情報の開示が強く求められ、そのためには会計帳簿を毎日きちんと作成する責任を果たさなければならなくなります。このことを関与先にしっかり認識させる必要があると思います。
久田 社会が厳格なルールに基づく事前規制型から、基本的に何でもありの自由になった事後規制型に大きく転換しました。自由な反面、規律が求められた。その規律では、会計面で、公告や適時記帳、会計参与など、いい方向に向かっていると思います。
■疑問があればまず会計事務所に相談に来るように…
――新会社法の施行が間近に迫っています。本題に入る前にまず会計事務所としてどのように関与先への情報提供をしてこられたかについてうかがいたいのですが。
坂本 私の事務所では、毎年6月と秋の経営革新セミナーの2回、関与先向け研修会を行っています。経営革新セミナーでは、久田先生など全国会戦略特別委員会のお力を借りてTKC出版で作った『Q&A新しい会社法のポイントと中小企業の対応策』(以下、Q&A)を配布して、関与先に説明しました。
新会社法の本は、数多く出版されていますが、会計事務所と中小企業の目線に合った教材というと、このQ&Aが最適で、われわれTKC会員が活用しない手はないと思います。
私は金融機関に頼まれて本部や支店長向けに新会社法のセミナーを行いました。金融機関の行員が取引先企業を回る際、経営者とのコミュニケーションが希薄で、リレーションシップバンキングにならないという理由からです。その点、今回の会社法はすべての会社に影響することから、金融機関にとっては千載一遇のチャンスで、ぜひこれを行員が理解し、機関設計の話などをしたいというのです。
ということは、関与先が新会社法の話を、先に金融機関等から聞くと、会計事務所への信頼感が揺らぐので、「それはもう会計事務所と打ち合わせ済みです」と言ってもらえるようにしておく必要があると思います。
関与先への広報はもちろん、経営者の会合や商工会などの勉強会で、Q&Aをツールに説明したら、インパクトが強いと思います。
馬服 うちの事務所では、Q&Aに私のメッセージを添えて、巡回監査の際に全関与先へ配りました。まずは事務所がきちんと対応するという姿勢を示し、関与先に安心感を与えることが大事だと思います。
今後は施行前に実施する巡回監査で、少なくとも機関設計や定款の見直しについて最低限、対応しなければいけないと思っています。
川崎 私の事務所では、1月にQ&Aで関与先対象のセミナーを開催し、その後の巡回監査で職員が個別に説明を行っています。
皆さんにお勧めしたいのは、久田先生が講師を務められたDVD「巡回監査担当者による新会社法の指導ポイント」(TKC出版)です。事務所の全員が見ることで、みんなの意識が統一しました。そして、DVDで久田先生が言われているように、有限会社を株式会社にするかどうか等、事務所が提案して、関与先が選択するという流れで進めています。
――では、評判のDVDの講師、久田先生よろしくお願いします。
久田 図らずもQ&A作成メンバーの一員に加えていただいたおかげで、DVDにも登場することになりました。
昨年6月の法案成立後から言いますと、最初に『事務所通信』の新会社法特集号を配布しました。実際配る事務所の職員は、「まだよくわからない、理解してから配るべきないか」という思いが強かったので、「わからないところは、これから一緒に考えましょう。登記の手続きなど、新しい情報が出次第、またお伝えしますから、と言えばいいから」とアドバイスして、配布に踏み切りました。
その次にQ&Aが出たのですが、これも効果的に使おうということで、秋の経営革新セミナーのテキストとして使用しました。
施行までのポイントは、新会社法が施行するということを早く伝えて、もし疑問があれば、関与先経営者から事務所に相談が来るという体制を構築しておき、金融機関や他の助言者のところに相談に行かなくてもよいような、安心を植えつけるということです。
中部会では、一般経営者向けの「ビジネス塾」、金融機関対象の「まるごとTKC祭り」でQ&Aをテキストとして活用しました。
■3月から年度重要テーマ研修
「株式会社の機関設計…」を展開
――中央研修所長の川崎先生、巡回監査・書面添付推進委員長の馬服先生、戦略特別委員会の坂本先生、久田先生、各委員会等のサポート体制についてお願いします。
馬服 当委員会の主たる役目は、巡回監査と書面添付の品質等を高めていくことです。この延長線上で会計参与制度への対応を考えています。さらに、記帳条件が明確化されたことにより、巡回監査報告書等の見直しも課題と受け止め、検討小委員会を早急に立ち上げ対処します。また、職員が現場で法改正に適切に対応できるようなスキームを作るため、戦略特別委員会の新会社法実務対応小委員会や、中央研修所の別表調整に関する小委員会へ参加し、積極的に対応しています。
川崎 中央研修所としては、昨年末までに、学者や実務家の方を講師に、改正関係の一般論の研修を、地域研修所主催で実施することをお願いしてきました。
今年3月〜4月末には、戦略特別委員会、巡回監査・書面添付推進委員会の協力を得て、「株式会社の機関設計と計算規定等」を年度重要テーマ研修として全国で実施する予定です。
ここでは、巡回監査の現場で実務的に対応できるような機関設計のチェックリストや、会計参与マニュアルなどを教材とする予定です。
坂本 戦略特別委員会の小委員会で作成したQ&Aが好評を得ているのは、久田先生のお力が大きかった。それから、浜松の小川晃司先生、うちの事務所のIII型会員の山尾秀則税理士と、ともに40代の中堅会員ががんばってくれました。
久田 昨年、このQ&Aの話が出たときに、編集の視点や対象読者の議論があり、中小企業の現場を知っているわれわれならではの冊子にしようということで、関与先から出そうな質問を、Q&A形式にまとめました。
特に中心になったのが機関設計と計算書類の作成の部分ですが、おかげさまでいろいろ反響をいただきました。ただ、種類株式の範囲の拡大等は、改訂版に加えるつもりです。
――われわれは、このように研修等で準備を整えているわけですが、TKCシステムの対応について、TKCシステム開発研究所を代表して櫻岡常務、お願いします。
櫻岡 商法改正と新会社法の制定は、平成元年の消費税導入に匹敵するほどの重要性があると見ています。
シス研は、全国会のIT部門として、まず会員先生方の会計帳簿作成業務を法的にきちんと担保します。そして、決算申告まで含めて会社法に準拠した業務ができるようにシステム改訂を行っていきます。そのため、現在は会社法の中でも特に計算規定に重点を置いて、TKCシステムの改訂内容の分析を進めています。その影響は、月次の財務三表から決算諸表、法人決算申告システムまで幅広い影響があります。
特に新会社法への対応では、勘定科目の追加、標準科目名の変更、利益処分計算書の廃止とそれに代わる株主資本等変動計算書の新設など、これまでの常識を変えて取り組まなければならない課題となっています。
また、新会社法では会計参与制度が新設されました。今後、会員先生方が会計参与に就任された場合の法的防衛をシステムにどう組み込んでいくか、会計参与としてどのように判断したかを証拠としてどう残していくのかも課題と考えています。
■伸びようとする関与先に「中小企業会計指針」を適用
――「中小企業の会計指針」(以下、会計指針という)の公表によって、TKC会員はこれに今後どう対応していくべきでしょうか。
坂本 この会計指針が昨年8月3日の公表前に案が出ました。そのとき、中小企業庁の研究会で初めて盛り込まれた「記帳条件が中小企業の体質強化につながる」という文言がすべてカットされていたのです。それで、運動をした結果、会計指針の中に「会計情報を適時・正確に作成することが重要である」という文言を入れていただいた経緯があります。
全国会は、平成18年以下2年間の重点施策に、会計指針の調査・研究・研修を挙げています。
従来、日本の企業300万近くのうち、株式公開会社、つまり証券取引法適用会社と商法特例該当会社の1万社程度は、会計監査人の外部監査が入り、レベルの高い会計基準に拠っています。それ以外の99%超が税務基準です。
今後、証取法適用会社と商法特例該当会社が国際的に通用する会計基準を導入するのは当然として、中小企業のうち当面2、30万社が指針適用会社になるというイメージです。その伸びようとする中小企業に新会計を適用させることが、われわれの使命だと思います。
もっと言うと、われわれは、税務基準の決算書をベースに全関与先を対象に書面添付を行ってきました。今度は、書面添付プラス会計指針適用会社が会計参与就任の候補企業という大まかな絵を描く必要があると思います。
そして、将来は、中小企業の半分程度に指針を適用させるべきではないかと思います。
――今までは、税務基準といっても、商法、税法、財務省規則の、どの基準で財務諸表を作成しているかわかりにくかったのが、会計指針ができて明確になったと思いますが。
久田 日税連の旧基準チェックリストのように、できたところは○、できなかったところは×という形で、会計指針も適用できるといいですね。ここまではできたが、ここはできなかったと確認できることができ、実態に合った指針の適用と思います。
――中小企業の多くは閉鎖会社で、注記の書き方をうまく行えば、税法基準でも根幹は会計指針との考え方も出てくると思いますが。
坂本 武田隆二編著『中小会社の計算公開と監査 各国制度と実践手法』(清文社)によると、アメリカを除く先進諸国の職業会計人団体は2つあります。例えばイギリスでは、株式公開会社を関与する勅許会計士と、一般企業を見る公認会計士です。職能団体と会計基準が関連しているという意味では、税理士と公認会計士の職業の存立・発展を目指すためにも、この会計指針の徹底がすごく大事だと思います。
馬服 中小会社の計算書類の信頼性確保という社会的要請を受けて中小企業の会計指針が公表され、会社法が成立したと考えたとき、われわれ職業会計人がこれに積極的に取り組むのは当然でしょう。われわれは会計の専門家として、関与先はもとより金融機関等に対しても、これが社会の大きな流れであることをしっかり示さなければならないと思います。
川崎 私の事務所で書面添付の申告が増えてきたのは、九州会の中込重秋先生のセミナーが契機です。書面添付の実践が、関与先の2、30%を超えたら、「出るところ管理」から「出ないところ管理」へ移行すべき、という内容でした。
この会計指針も、目標を高く掲げるかどうかで、普及が大きく変わってくる。土俵を作り、できないところの管理がなぜできないか個別に手を打って対応していくことが大事だと思います。
久田 この会計指針を見ると、各論の勘定科目の表示面に注目しがちですが、総論の方針にある「適時・正確に作成すること」をしっかり玩味していきたいと思います。
坂本 結局、TKC全国会は運動体だから、今、関与先に会計指針適用会社がどれだけあるのかではなくて、どれだけ関与先を啓発させたか、その結果の数が大事だと考えればやりがいがあります。それだけやるべき仕事が先にあると思えば楽しみですね。
■巡回監査担当者用の対策チェックリストを開発中
――「機関設計」で顔も中身も違う関与先を、どのように実務的フォローすべきでしょうか。
久田 戦略特別委員会と中央研修所から、会計事務所の巡回監査担当者が関与先で果たすべき責任を明確にするチェックリストを作るようご指示をいただき、巡回監査・書面添付推進委員会の森脇仁子先生と、中央研修所の三堀孝夫先生、Q&A作成の山尾先生、小川先生に参加いただき、3月完成目途で「監査担当者のための新会社法対応チェックリスト」のプロジェクトが動いています。
このチェックリストは、定款や登記簿謄本の現状分析の後、関与先に、今回の新会社法の変更点をきちんと説明したうえで、「御社はどのような方向性を求められますか」という問いかけで、考えるヒントを与えます。
なお、Q&Aは関与先への情報提供が目的で、チェックリストは機関設計などを決めていくツールです。ただし、一回の質問では結論が出ないので、次回フォローできるようなカルテ式になっています。ぜひ、全関与先で使っていただきたいですね。
――定款の変更は、司法書士の業務ですが、他士業との協力などについてはいかがですか。
川崎 私の場合、登記事項は司法書士にお願いします。彼らも、新会社法への準備は進んでおり、お互いに資料を交換しています。
馬服 私も全く同じです。
坂本 関与先への啓蒙は、Q&Aの配布や、巡回監査担当者による個別対応になりますが、所長としては不安です、漏れがあってはいけないので。今後、久田先生たちのチェックリストを使って、司法書士にお願いするのか、事務所でフォローするのかを決める必要があります。
■KFS実践企業こそ会計参与の該当先
――「会計参与制度」にどう対応していくか、川崎先生、馬服先生、お願いします。
川崎 会計参与制度は、巡回監査・書面添付推進委員会で開発中のツールを取り込みながら、「責任」の問題等も含めて、先ほどお話しした年度重要テーマ研修と、6月に実施予定の年度重要テーマ研修「中小企業の会計指針と別表調整」で対応する予定です。
馬服 当委員会では、本日の司会の石岡先生に小委員会の委員長として、会計参与に関する行動規程、契約書、会計参与報告書等の検討と開発に取り組んでいただき、3月半ば完成の予定です。ただ、現状、会計参与の「責任」の問題がクローズアップされているようですが、少し過剰反応のような気がします。
TKC会計人は、昭和57年以来、TKC書面添付制度の中で、基本約定書や完全性宣言書、書類範囲証書の証明三表等を活用してきましたが、これらの成果物はその考え方において、すでに会計参与制度を先取りしていると言えます。TKC会計人による書面添付制度は綿密な巡回監査を前提とし、税理士法上の相当注意義務を果たすことにより、税務申告だけでなく取締役との決算書の共同作成に関しすでに経験と実績を積んでいるわけです。したがって、これらの成果物を応用することにより、自信を持って会計参与に取り組むことができるようなTKC会計人独自の行動規程を検討しているところです。
――坂本先生、今の会計参与行動指針を、TKC会員はどう考えていくべきでしょうか。
坂本 今、日本税理士会連合会と日本公認会計士協会が一緒に行動基準の作成に取り組んでいて、会計士協会の藤沼亜紀会長によれば2月中に完成と聞いています。それにTKC全国会の行動指針を加えればと期待しています。
僕は、会計参与を全国何社で成功かというところを問う必要があると思います。証券取引法適用会社が4000社超で、商法特例該当会社が4500。その他、任意監査を含めて、公認会計士監査が1万件とすれば、会計参与の当面の最低目標は1万社。そこでトレーニングを積み、5万、10万社と目標を積み上げていけばいいのではないでしょうか。
TKC会員9300名のうち5000名が、1人2件行えば1万件です。その5000の会員の関与先で、巡回監査を励行し、書面添付も実施していて、資産の評価も不安がなく、チェックも入れていれば、大丈夫です。
会計参与の責任も、記帳がしっかりしていれば、正しい帳簿と推定されます。とすれば、あとは資産と負債の評価の問題です。書面添付の徹底断行を行いながら、その中に会計参与企業を輩出していくスタンスだと思います。
馬服 FX2用巡回監査支援システムを活用すれば、巡回監査で税務だけでなく会計の品質が保てます。
坂本 KFS実践企業が会計参与の該当先だとすれば、今まで取り組んできたのは無駄ではなかったということですね。
■5月末までに約30のシステム改訂を完了する予定
――新会社法の施行で、利益処分計算書の廃止や、株主資本等変動計算書、総勘定元帳の貸借対照表、損益計算書の科目や表示等の変更があります。今後の具体的なシステム改訂のスケジュールは?
櫻岡 今回の新会社法対応では、われわれシス研の仕事は大変多く、実に34システムの改訂が必要となります。具体的には、財務エントリや法人決算申告システムなど事務所用システムで17、FX2などの自計化システムで7、ProFIT関連(データストレージサービスを含む)で2、FX4などの中堅・大企業向けシステムで3、連結関連システムで5、となっています。
先ほど申し上げましたように、今回のシステム改訂の根本は勘定科目大系の改訂です。これにより勘定科目とその残高を用いるシステムすべてを改訂しなければなりません。さらに、計算書類に「株主資本等変動損益書」が加わったことにより、決算書の作成方法が変わります。この計算書は、TPS1000で作成できるようにします。間違いなく、法人税申告書の添付書類となります。
また、会員先生方が日々見ていられる統合情報センターで出力している帳表も切り替わります。突然の切り替えでは混乱しますので、一月前の5月から順次切り替えさせていただきます。まずは5月1日に栃木統合情報センターで出力処理を開始し、その後全国の8つの統合情報センターの帳表を順次切り替えていきます。ぜひ、じっくり見ていただき、違いをわかってもらえればと思っています。
そして、法律の適用が、3月決算が旧商法と旧法人税法、4月決算が旧商法と新法人税法、5月決算が新会社法と新法人税法というように異なります。決算と申告の実務という観点からすると、TPS1000のシステム改訂が大きく、6月中旬に全国で開催される税務情報システム研修会で勉強していただきたいと願っています。
■システム設計を強力な体制で組めるTKC
――会社法の施行以降の中長期的な課題等について、お話しいただければと思います。
川崎 会計指針への対応は、所長はもちろん、現場で指導する職員が中心になります。今後の職員には「今以上の簿記会計知識プラスアルファの知識」が必要です。職員の地位の向上には、努力が肝要であり、研修で鍛えていかなければと思っています。
そこで、6月に「中小企業の会計に関する指針」の年度重要テーマ研修を実施します。ここでは指針への基本的な理解を深めるため、企業会計上の利益と税法上の所得の乖離が一段と進み、別表調整の理解が重要になってくることから、『中小企業会計指針とその実務対応――別表調整を中心として』という教材を活用していく予定です。
その前の税務情報システム研修会の法人税・消費税編でも対応しようと思っています。
さらに年度重要テーマ研修は、新会社法が施行され、さまざまな問題が出てきたり、いろいろな環境変化が進む中、新時代の巡回監査を模索する研修を来年度予定しています。
あと職員に求められるレベルが高度化する中で、従来の初級・中級・上級といった実務研修に加えて実務試験の背景にある法的志向を持った職員を養成して、所長の片腕として養成する趣旨で、専門コースを企画しています。
馬服 会計指針の導入により、巡回監査報告書の改訂が課題になります。とりわけ会計参与に取り組む所長と巡回監査を行う職員の役割を明確化するという観点での見直しが必要と考えるわけです。
二番目に、会計指針に準拠した決算書については、これまでとは異なる別表調整まで含めた書面添付に係る財務省令第九号様式の記載内容のデータベース化に取り組むため、すでに検討小委員会を立ち上げています。
――坂本先生、久田先生、会計参与制度への対応等について最近の動きをお話しください。
坂本 会計指針には、実務家の感覚も取り入れ、「本指針の作成に当たっての方針」の「要点」に、「会計情報に期待される役割として、経営管理に資する意義も大きいことから、会計情報を適時・正確に作成することが重要である」として、記帳の適時・正確性と、タイムリーな財務諸表の作成を要求しています。
要は、「会計で会社を強くする」という意思が採用されています。これは、従来の会計パラダイムを180度転換させるものです。
これをわれわれ事務所の業務に置き換えれば、巡回監査をして、適時・正確な記帳を確認する。適時・正確な月次決算書を読むような形で指導を行う。経営者に啓蒙を繰り返していくのは、社会的意義も大きいし、飯塚先生が巡回監査という手法を編み出されたその思いと軌を一にするものだと思われます。
平成18年のTKC全国会の活動方針に入ったのは非常にすばらしいし、会計参与も、その延長線上にあるものだと思います。
今、日税連と会計士協会が作成している会計参与の行動指針に期待していますが、それプラス、われわれ実務家が会員になり、法務省、経済産業省、中小企業庁、金融庁、国税庁あたりがオブザーバー参加して、日本会計参与協会(仮称)といった組織、日本を強くするような団体ができればありがたいと思います。
久田 所属している創業・経営革新支援委員会の立場から言うと、関与先経営者と経営計画を考えるにあたり、現状分析をして、夢を語ってもらい、5年後のビジョン、数値目標を尋ねてきましたが、これに「組織づくりのビジョンは?」の問いかけが機関設計の見直しにつながると思うのです。
会計指針は、TKC全国政経研究会定期大会で篠澤忠彦会長が、「商法第32条の会計慣行の斟酌規定が、今度431条で準拠規定に変わった、そこをしっかり把握しなさい。それを踏まえた432条なのだよ」と言われました。このことから、私は準拠規定になったその基準が、まさにこの会計指針なんです、と事務所がきちんと関与先に伝えていったり、その気持ちを仲間のTKCの先生方と共有していけたらなと思っています。そして、税理士が税務の専門家にとどまらず、会計の専門家であるという自負を持って、税理士法の改正につなげていければと願っています。
――システム改訂についても、万全ということですね。
櫻岡 シス研一丸となって取り組み、万全を期す覚悟です。その結果として、法的にも何ら問題のない適法なTKCシステムを会員事務所にご提供いたします。ご期待ください。
坂本 会社法施行や会計指針の本質を理解して、システム設計に強力な体制で臨むのは、日本ではTKCぐらいです。われわれは、それだけすごいサポートを得ているということを銘記する必要があると思います。
(構成/TKC出版 土屋雄二郎)
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