■特別座談会

 税務官公署出身会員が語る
 TKCシステムとSCGのサポートで自計化や電子申告は万全

<出席者(敬称略・順不同)>
 今井芳典(TKC東・東京会)、 大木 洋(TKC中国会)、 宇高照二(TKC九州会)
■司会 
 TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会 委員長 刈谷敏久(TKC四国会)

 昨年に引き続き、入会1-2年目の税務官公署出身の3会員から、税務官公署勤務時代、入会の経緯、TKCシステムの活用、電子申告時代を迎えての事務所経営や税理士としての未来像などをうかがった。司会はTKC全国会のニューメンバーズ・サービス委員会委員長の刈谷敏久会員が務めた

■大きな糧となった調査官時代
 仕事の厳しさや重要性を痛感


  ――それではまず、税務官公署時代の経歴を含めた自己紹介をお願いします。

大木洋会員 大木 中国会の大木です。昭和37年入署の税務講習所普通科第22期生です。平成14年7月、広島国税局調査査察部長を最後に退職し、直後に税理士事務所を開業しました。在職中は、所得税、徴収事務を各3年、組合専従5年の他は主に法人税畑を歩み、調査課・査察事務も経験しました。査察では、若い頃に経験がなかったので苦労しましたが、「税務の最後の砦」としての厳しさを身をもって知らされました。そのことが、爾後の私自身の仕事の上での大きな財産となりました。TKCへの入会は平成14年9月です。

 宇高 九州会の宇高と申します。昭和47年に熊本税務大学校普通科に入学、32期生です。その後、佐賀・福岡・大牟田・八幡・小倉・佐世保と、31年間各税務署に勤務しました。その間、主に間接税を担当し、大牟田署では総務、そして八幡、小倉、最後の勤務地、佐世保で法人税に従事しました。今年の4月から消費税の総額表示が義務づけられましたが、平成元年の消費税導入の時期は、説明会の講師を担当しました。
 税理士登録をしたのは昨年の8月27日で、TKCへの入会は同年9月12日、開業は11月25日という新人です。

 今井 東・東京会の今井と申します。関信局採用の普通科33期です。その後、大蔵省理財局、主計局、東京国税局と移り、昨年3月藤沢税務署を最後に国税の職場を平成15年3月末に退職し、同年8月にTKCへ入会しました。退職は急な話で、中国の広東省でビジネスを行っている実兄から東京に管理会社が必要になったから手伝えと半ば命令でした。事務年度途中で辞めてしまい、職場の方には大変ご迷惑をお掛けして申し訳なかったと思っています。

 ――在職の頃抱いていたTKCの印象をお聞かせください。

 大木 TKCの存在は昭和50年代に知りました。税務署時代、TKC会員の関与先に2、3件ほど調査に行きましたが、ワンライティングの伝票を几帳面に貼付した帳簿が備え付けてあり、当時は裏カーボンの時代でしたから手は汚れるし、文字・数字が不揃いで一瞥判断できないし、手間がかかるということで困惑した経験があります。
 また当時の帳簿方式としては、省力化が図れて画期的だったかもしれませんが、私たち調査官にとっては厄介な代物で、その方式を採用している納税者への調査はできるだけ避けるようにしていました(笑)。
 また、飯塚事件をきっかけに、TKCについては良いイメージを抱いていませんでしたが、立ち会ったTKC会員の先生方はいずれも真面目で正義感の強い方ばかりで、「先入観が間違っていたのかもしれない」と思ったことがありました。

 今井 われわれは税務調査をする立場ですが、TKC会員の先生方は関与先への指導に相当自信をお持ちのようで、簡単には妥協しません。若いころは、非違事項を探すのに苦労したという印象があります(笑)。


■充実した研修と勉強熱心な
 TKC会員に刺激を受ける


 ――数あるシステムの中でTKCを選ばれた理由や入会の動機はなんですか。

 今井 たまたま私が出会ったTKCの先生方に好印象を抱いていたのが入会の率直な理由です。ですから退職したらTKCに入会しよう、と初めから決めていました。

 大木 TKC会員のいろいろな先生方とお話をする中で、TKCについての存在感を十分に感じるようになりました。なんといってもTKC中国会広島支部の寺越愼一支部長との出会いが大きなきっかけです。寺越先生は中国会のニューメンバーズ・サービス委員長でしたので、強い勧めをいただきスムーズに入会できました。

 宇高 私も、以前より大変尊敬し、信頼しているTKC九州会北九州支部の先生のお声掛けがきっかけで入会しました。

 ――TKCは計算料金が高いという未入会税理士もいますが。

 大木 世間的に言われているほど高くはないと思います。他社システムを導入している友人はかなり初期投資をしていますが、思うように採算が取れていないようです。私は、TKCは高品質なサービスを、しかも廉価で提供してくれていると思います。税務署退職者には是非TKCシステムを推薦します。

 ――TKC全国会入会セミナーを受講されたご感想はいかがですか。

 大木 武田隆二会長のすごさは、書物等で理解していたのですが、TKC全国会入会セミナーで非常に高度で専門的なお話を至近で聞くことができ、大いに感激しました。さらに、株式会社TKCの飯塚真玄社長からも、TKCの戦略について示唆に富んだお話を伺いました。また、高橋宗寛和尚からは、目から鱗が落ちる法話が聞け、これからの人生を処していくのにいい人生訓を得たと思いました。和尚のお話は、今でも2か月に1度、広島原点の会(『会計人の原点』〈TKC出版〉を読む会)で聞かせていただいています。

 宇高 私は昨年10月に家内と一緒に入会セミナーに出席しました。税務署に勤めていた方は必ず夫人同伴で行くべきだと思います。というのも、税理士として開業したての時期は、従業員は奥さんだけなので、理解を深めてもらうにはいい機会だと思うからです。

 今井 私も妻と一緒に参加しましたが、これだけの規模の税理士集団は他にはありません。TKC全国会のテレビコマーシャルの効果も抜群です。あのときセミナー会場で、私も「この方針でいこう!」と決意しましたから。

 ――地域会では実務セミナーがあります。また、研修所では、初年度90時間、2年目以降54時間の生涯研修を行っていますが。

 今井 ビックリしたのは、講師の先生が競争相手のわれわれに、苦労話や商売上の手の内を明らかにしてくださったことです。よほど自分に自信があるのかなと思いましたよ。事務所へお邪魔した際も、会員同士がざっくばらんに意見交換を行い、最後には、「今井さんこのデータ、あげるよ」、と言ってくださり、本当に親切で熱心な先生方ばかりです。ただ講義を聞くだけの一般的な研修とは違うなと感激しました。

 大木 TKCの研修が充実しているのは、一つの財産だと思います。内容も非常にタイムリーで、講師陣も勉強熱心で非常に分かりやすく説明してくださいます。研修の数が多いので大変ですが、時間をうまく割いて、できるだけ出席しています。

宇高照二会員 宇高 私も、大木先生と同じ考えです。全ての研修内容を詰め込もうと思ったら、頭がパンクしますよ。それを言ったらある先生が、「1日研修を受講したら、何か1つだけでも身につければ良い。全部を理解しようとしたらそれは無理だよ」というアドバイスをいただき安心しました。
 ですから、現時点では、税理士会の予定とぶつからない限りはほぼ出席し、1つずつクリアしていこうと思っています。

 ――昨年、全国100事務所見学会が開催され、今年は120事務所で予定されています。

 宇高 昨年の100事務所見学会に参加しました。TKC全国会で名が知れている事務所へ訪問することができ、所長先生ご自身から直接お話を聞けることはとても貴重ですね。
 実は、6月4日、5日の「九州会ニューメンバーズ北九州の集い」に参加し、大いに触発されました。

■懇切丁寧なサポートでシステム操作も安心

 ――皆さんシステムや操作については詳しくないということでしたが。

 今井 ええそうなんです。税理士になるのであればこの時代、パソコンぐらい使わないわけにはいかないと思いましたが、実は恥ずかしながら、昨年まではワープロができる程度のレベルでした。ですから早くTKC会員になって、人並みにパソコンを使えるようにならなくてはと思いました(笑)。

 大木 今井先生がおっしゃったように私もパソコンには強いほうではなかったので、初心者でも容易に操作が可能で、しかも法令に完全準拠しているということで、TKCシステムが条件に合いました。

 宇高 私も最初はシステムについて全く知りませんでした。毎月送付される『TKC会報』を読んで、自計化についてはなんとなく理解していましたが、その当時財務エントリについては全く知りませんでした。

 ――関与先へのFX2導入についてお聞かせください。

 宇高 先々月導入を済ませたばかりです。TKC自計化システムの三本柱であるFX2、PX2、SX2を勧めていきたいです。

 今井 私も関与先には自計化が前提です。現在、関与先と自社に4件導入していますが、自社については、入力から全て自分でやってきたので、少しは自信がつきました。

 大木 私はまだFX2の導入件数は2件だけですが、他の関与先には自計化を提案しているところです。

 ――税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の導入はいかがですか。

 宇高 出張先にも持ち歩いているノート型パソコンから、サーバのデータを読み込むことができ、とても有効活用できます。
 そう考えると、事務所内に職員が複数になったらOMSは絶対に必要ですね。それとやっかいなウイルスの問題についても、何もしなくてもTKCウイルス対策プログラムが作動してくれますから、非常に安心です。

 今井 私もパソコンの機能がうまく働いているのだなと思ってOMSを利用させていただいています。

 ――TKCのシステム・コンサルティング・グループ(SCG)のサポートやフォロー体制はいかがですか。

 大木 SCGには毎月初旬に来てもらい、親身になってサポートをしてくれ、いろいろな情報提供をいただいています。私は、パソコン等の操作能力が今一歩ですが、嫌な顔もせずに対応していただき、SCGには本当に感謝しています。また、セキュリティー面も万全で時代の変化に対応したシステムであり、SCGのフォローアップとアフターサービスで開業時の不安はすべて払拭することができました。そういう点からも、TKCは税務・会計システムだけではない、トータルサポートなんだなと実感しています。

今井芳典会員 今井 私の事務所は、たまたまSCGサービスセンターに近く、SCGの方にはいろいろなことを相談しています。SCGのサポートを受けて、法人の申告書も作成できるようになりました。1週間前は継続MASシステムを活用して経営計画の策定も行い、人間ちょっと努力すればなんとかなるものだなと思っています。おかげさまでこの1年間で、パソコンに対しての抵抗感が消えました。

 宇高 私もSCGには毎月必ず来てもらっています。日程調整するのが大変なので紙に質問事項を纏めて書くようにし、それでも分からないときは直接電話します。現在、事務所内のブロードバンド対応のインフラ整備をしていて、ITを活用した業務効率化と品質管理からいって、TKCシステムは非常に利便性が高いと確信しています。


■月刊3誌等のツールもフル活用していきたい

 ――廉価で利用できる『事務所通信』『ビジネスワンポイントニュース』『経営者の四季』の月刊3誌の購読は?

 大木 月刊3誌は毎月20部ずつ事務所名の刷り込みタイプを購入しています。関与先には送付したり持参したりしていますが、「なかなかいいことが書いてある」「タイムリーで役立つ情報が掲載されている」ということで好評です。また、私は税務署提供のパンフレットと合わせて配布したりしています。
 特に中小企業の社長は、事業継承に非常に関心があり、資産価値等の問題についての冊子や、TKC全国会ネットワーク(ProFIT)で送られてきた税制改正の情報などと一緒に送付しています。

 ――ProFITの話が出ましたが、大木先生はよく活用されるのですか。

 大木 私はいつもProFITを一番先に見るようにしています。リンク先のボタンもある官公庁ホームページ(国税庁等)からの情報もよく確認していて、ASPの機能も相当活用しています。

 今井 私もちょうどタックスヘイブン(租税回避地)関係の事案を抱えていて、判決などの情報をタイムリーに収集できるLEX/DBも含めて有効に活用させていただいています。

 宇高 確かに、国税庁等、官公庁のホームページは大変参考になります。

 ――皆さん、『TKC経営指標(BAST)』の活用はいかがですか。

 大木 多分、税務職員の多くは税務調査の前にBASTの同業他社の平均値を見て調査しているのではないでしょうか。大変助かっていると思いますよ。ただ、昨年からCD‐ROM版になりましたので、今後はこれに慣れていかなくてはいけませんね。

 宇高 FX2の導入先に配布される『戦略経営者』の中に最新の指標が掲載されており、経営者は同業種の数字と見比べていますよ。

■責任は重いがそれだけに価値のある書面添付制度

刈谷敏久委員長 ――書面添付を受け付ける側から提出する方へ立場が逆転しましたが。

 大木 現職の時は、書面添付された申告書を見たことがありませんでした。しかし、書面添付については、『TKC会報』を読んでいたので会員同士が切磋琢磨し件数拡大に熱心な様子は存じていました。
 また元国税庁次長で、財務省主税局長を経て国税庁長官に就任された大武健一郎氏の前向きな考え方に勇気をいただきました。税理士法改正で、書面添付は納税者側からの申告書の信頼性を示す意思表示になりました。一方で税務署側も関与先のレベルを知る判断材料にもなり、非常に良い制度だと思います。

 宇高 福岡国税局の場合は、申告内容確認書という制度がありました。従来、書面添付よりもそちらを重視していました。私は、昨年4月に新書面制度の研修を受講したのですが、大幅には違わない制度だと感じました。ただ、書面添付の場合、調査前に関与税理士に意見をお聞きする機会があり、逆に税理士側からすると意見を述べる機会があるということですから非常に責任が重いですね。

 今井 私は昭和60年の渋谷税務署当時、書面添付の件数を数えた経験があります。一昨年には、意見陳述の機会もありましたが、お互い初めてでぎこちなかったことを思い出します。
  おそらく書面添付を提出されている先生方は、一所懸命巡回監査と指導を行っておられるわけです。私も業務品質を高め、書面添付を実施できるように頑張ります。

■税理士として第2ステージを着実に伸ばしていきたい

 ――電子申告時代を迎え、その対応についてはどのようにお考えですか。

 大木 電子申告は避けて通れないと思います。大勢のTKC会員が率先して取り組んでいる姿を拝見しながら、こちらが何もしないのは心苦しく忸怩たる思いがあり、まずは、自分の申告だけでも開始するつもりです。住基カードは既に取得していて、徐々に開始の体制を整えています。その上で関与先ヘも勧めていきたいと思っています。

 今井 私も電子申告には当然着手する方針です。TKCの税理士事務所としての看板を掲げた以上は、TKCシステムを信頼して取りかかりたいです。また、それが関与先へのアピールにもなりますから事務所のメリットは充分あると感じています。

 宇高 ご存じの通り、納税者と税理士だけしか電子申告はできません。納税者の方から「先生の事務所では電子申告はできないのですか」と言われたくありませんし、それを言われたらもうおしまいだと思います。大木先生も先ほどおっしゃったように、今度の確定申告からまず自分の電子申告を開始したいと思います。それから、関与先にメリットをアピールして行こうと考えています。

  ――最後に、税理士としての未来像をお聞かせください。

 大木 これまで通りTKCにお世話になりたいと思います。ProFIT、月刊3誌等のツールが充実しており、また他社に先駆けタイムリーな情報を発信するなど、万全の体制が構築されているので安心ですね。
 税理士の将来像ですが、税務会計、確定申告の税務書類の作成だけではもはや納税者、お客様のニーズには応えられません。納税者は、特に経営、金融面での資金繰りについて相談をされます。中でも、危機管理、倒産防止等に非常に関心を持っており、それらへの対応ができる事務所にしていきたいです。そのためにはいろいろな知識が要求されるのはもちろんのこと、金融機関や司法書士事務所と連携し、会計事務所の多角化・総合化を目指し、経営者が安心して相談できる体制を整えていきたいと思います。

 宇高 個人経営の事務所は、ある程度専門的にしていかなければ、あと10年もすれば業界内で淘汰されるだろうと予測しています。ですから、従業員を雇う場合、年齢は問いませんが、意欲のある元気な税理士資格取得を目標とした人材が前提となります。それらを踏まえた上で、税理士業務の完璧な履行を目指し、関与先を拡大していこうと思っています。

 今井 当然、TKCシステム一本で行きます。現在、私と家族、アルバイト1名でやっていますが、事務所としてのレベルは低く、この前の決算は2名の派遣の方を頼んでなんとか対応しました。今後、税法・パソコンの精通者を1名雇おうと思っています。 
 また、今年2月に旗揚げした「中国ビジネスコミュニケーション倶楽部(税理士5人の集団)」の仕事にも力を入れていきたいです。現在、上海にコンサルタント事務所があり、税理士として中国進出企業への支援ができればと考えております。
   

(構成/TKC出版 國井美保)

(会報『TKC』平成16年7月号より転載)