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と き:平成19年6月20日(水) ところ:リーガロイヤルホテル東京
「中小企業の会計に関する指針」を学ぶ年度重要テーマ研修が、7月中旬から9月にかけて全国43会場で開催される。これに先立って行われた講師団研修では、テキスト『中小企業会計指針とその実務対応』を作成した小委員会のメンバーが講師を務め、地域研修講師約30名が参加した。
各地域会で期待の高い重要な研修
研修に先立ち、三木武彦中央研修所担当副会長が挨拶した。
「先日開催されたタックスフォーラム2007で、『会計参与の役割と立法の趣旨』と題したパネルディスカッションがございました。会計参与としての税理士の位置づけが浮き彫りにされたディスカッションでしたが、その中である会員先生が『中小企業の会計に関する指針(以下、会計指針)を事務所の標準業務とするのか、それとも個別事案として対処するのかで所内で大いに議論した結果、最終的には事務所体制としてダブルスタンダードは望ましくないという結論に達し、会計指針への切り替えを全関与先にお願いした』と述べられていました。これは時代を先取りした、われわれにとっては一つの示唆的な発言だったと思います。会計参与制度を普及するためには、この研修が大きな役割を果たすことは間違いありません。私の地元である中国会でこの研修が開かれたら、事務所の幹部だけではなく、すべての職員を参加させて、しっかり知識を習得させるつもりなので、本日の研修に期待します」
続いて、川崎浩中央研修所所長が「中央研修所では3年前から会計指針の研修を進めてまいりましたが、今までの研修はコマ切れで、十分な知識が得られないという会員先生方のご意見等がありました。こうした意見を踏まえて、今回、年度重要テーマ研修として2日間にわたって会計指針を勉強していただくことになりました。この研修に対する各地の期待は非常に高いものがあると感じておりますが、本日の研修を終えましたら、身につけた知識をぜひ地元地域会にフィードバックしてください」と参加者を激励した。
会計指針は会計参与の職務範囲を限定する
本研修で使用されるテキストは、『中小企業会計指針とその実務対応』、『TKC会計人のための中小企業会計指針チェックリスト』が主な教材。これらテキストを用い、演習問題を解きながら、3名の講師は講義ポイントを踏まえた解説やアドバイスを行った。
講義1は、中央研修所教材研修部会「会計指針」教材作成小委員会の坂部達夫委員長が中小企業の会計に関する指針の主旨と制度等を解説した。
坂部委員長は「会計参与は、会計の専門家として取締役・執行役と共同して計算書類を作成することを職務とします。会社法の中でこの会計指針は『一般に公正妥当な会計処理の慣行に従う』ものとされ、中小企業にとってはこの会計指針に基づいて計算書類が作成されることが望ましいと言えます。それゆえ会計参与の職務の範囲を限定する機能があり、逆に言えば会計指針をきちんと税理士・公認会計士がマスターしておかないと責任を問われることもあり得ます」と述べた。
「損出し会計」で金融機関にアピール
講義2は、同委員会の池水龍一委員が貸倒損失・貸倒引当金・有価証券・固定資産・金銭債権・棚卸資産・経過勘定・繰延資産などの注意点について言及した。
池水委員は「計算書類を作成するにあたり、これまでは利益があまり出ていないからという理由で引当金を費用として計上しないことが会計事務所によって普通に行われていました。本来なら利益の出ていない中小企業は貸倒引当金がもっと多くならなければなりません。会計指針はこの考え方を一掃した、いわゆる『損出し会計』といえます。事前に損を計上した正確な計算書類を作成するわけですから、金融機関等からの評価は当然高いと考えられます」とその対外的な効果を強調した。
さらに池水委員は日本経済新聞記者の磯山友幸氏の著作である『国際会計基準戦争』(日経BP)に基づいて作成した資料をもとに、国際的な動きと対比させて日本が会計指針を導入するまでの経緯を説明した。
中小企業の実態をより反映できる指針
講義3は、同委員会の大山修専門委員が引当金・退職給付債務・退職給付引当金・税金費用・税金債務・税効果会計・純資産・収益、費用の計上・外貨建取引・組織再編の会計などのポイントを踏まえて解説した。
大山専門委員は「この会計指針は、基本的に上場企業などの会計基準と考え方はほとんど変わりませんが、中小企業に適した簡便な方法を採用したものだと私は理解しています。例えば賞与引当金なども支給見込額を予測して計上するのが上場企業の会計基準ですが、同じことを中小企業に適用させるのはなかなか難しい。ですから過去の実績をもとに算定する改正前法人税法の支給対象期間基準を認めるという考え方なのです。これにより中小企業の実態をより反映できるので、会計指針に基づいて計算書類を作成すれば世界に対しても堂々とアピールできます」と強調した。
最後に、研修企画部会年度テーマ研修小委員会の三堀孝夫会員から地域研修開催に係る留意事項が説明され、研修は終了した。
なお、地域での研修は2日間かけて行われ、演習問題中心の実務的なカリキュラムとなる。
(TKC出版 渋田正和)
(会報『TKC』平成19年8月号より転載)
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